第4話 戦争ゴッコ・・・楽しいじゃねぇか
完全装備した詩織と摩耶。
「ここが射撃場」
ネムに案内された場所は折り畳み机が置かれた場所だ。
「あっちに的があるわ」
15メートル先に設置された的。
「あの的に向かって撃つの。これから撃ち方を説明するわ」
ネムは二人に与えられた電動ガンを机の上に置く。
「おっさんは体格に合わせて電動ガンを選んだみたいね。銃に興味が無くて、スポーツとしてサバゲをする場合、電動ガンを選ぶのは当然。多弾数マガジンの容量を考えると、自動小銃。更に重さ、大きさを考えると、小さい方が有利。詩織さんの方は東京マルイにP90。摩耶さんの方は同じ東京マルイのM4A1の次世代ね」
ネムに説明されながら、銃の前に二人は立つ。
「まずは基本的に安全を考慮する事。使わない時は銃口にキャップをしておくことが望ましい。それとマガジンを装着するのも撃つ直前ね。マガジンを装着する前にちゃんとセーフティが利いているかを確認。銃口を覗くとか、他の人に向けるとかは無しね。他の人に銃口を向けるのはあくまでもゲーム中に相手を狙う時だけ」
「安全装置、安全装置」
二人は言われた通り、銃口に赤いゴム製キャップを装着し、安全装置が掛かっている事を確認した。
「今度は自分達が使う道具について説明するわ」
ネムは自分の愛銃であるシステマ社のトレポンであるVFC MK18MOD.1自動小銃を取り出す。
「メーカーが違うけど、銃の取り扱いだけなら同じだから」
ネムはそう言うと、自動小銃を折り畳み机の上に置く。
「これがアサルトライフル。最も良く使われるタイプの銃。この銃身の部分の長さは様々にある。基本的には実際にある物がモデルアップされているけど、架空の物もあったりするわ」
ネムの説明に詩織が尋ねる。
「アサルトライフルってどんな意味ですか?」
「アサルト・・・突撃とかって意味になるかしら。ライフルは元々は銃身の中に刻まれた溝の事ね。つまり、ライフル銃とライフル銃じゃない銃ってのが元々あり、射程距離、命中率が有利な事からライフル銃が軍用銃として一般的になったわけ。その中において、突撃をするみたいな時に連射が可能な銃って事で、連射可能なライフル銃をアサルトライフルって分類した。雑に説明するとこんなもんね」
「ライフル銃とライフル銃じゃない銃・・・性能が落ちるなら、ライフル銃じゃない方は要らないやん」
摩耶の問いにネムは笑う。
「なかなか面白いわね。そういう銃も需要があるのよ。例えば、狩猟などによく使われる散弾銃。銃によってはライフリグが刻まれた物もあるけど、多くはライフリングが無いわ」
「へぇ・・・なんで?」
「散弾銃は名前の通り、散弾。つまり一発で複数の弾頭を飛ばすのが主だった目的だから。ライフリングは弾頭が銃身の中を隙間なく通る事で弾頭に横回転を与えるから、口径より小さい弾頭が複数、使われると意味が無いのよ」
「なるほど・・・色々あるんやなぁ」
「エアガンでも散弾銃はあるわよ。一発で3から5発ぐらいの弾を飛ばすの」
「おもしろそうやなぁ」
「色々と挑戦するのもサバゲの楽しみ方よ」
ネムはそう言って、銃を手にする。
「これから撃つ前の手順を説明するわね。銃口に着けたキャップ。これは実際には装着する人としない人が居るわ。実銃では銃口から異物を侵入させたく無い時ぐらいにしか使わないしね。なので、重要なのはゲームが始まる直前、射撃を始める直前にこのマガジンを装着します。この時は銃口が人に向いてない事を確認する事。シューティングレンジならば、的の方に向けておく方が正解ね」
ネムは銃を的の方に向けながら、マガジンを装着する。
「基本的には薬室・・・チェンバーとも言うけど、本体にも弾が入ってない状況にする事が基本だから、この段階でチェンバーハンドルを引っ張り、マガジンからチェンバーに弾を送る。これが装填って事よ」
詩織が尋ねる。
「それでいつでも撃てるんですか?」
「そうね。銃自体は発砲可能な状態になったわけ。あとはセーフティ。この場合はこのセレクターね。アサルトライフルの場合はセーフティとセミオート、フルオートって分かれている事が多いの。当然、セーフティを選んでいる時は引金を引いても動かない。そして、このセレクターを回して、セミオートにすると」
カチャリとセレクターレバーが回される。
「これでいつでも撃てるようになったわけ。一度、撃ってみるわね」
ネムは的を狙う。そして、引金を絞った。
バスンと音がして、白いBB弾が銃口から飛び出し、軌跡を残して、的に吸い込まれる。
「おぉ、めっさすごい」
見ていた二人とも口を開けて驚く。
「ははは。エアガンを撃つとこ、初めて見たの?」
「は、はい」
詩織は緊張した。あまりに勢いよく飛び去ったBB弾は目に追える事が出来なかったからだ。
「基本的に威力・・・発射するBB弾の重さと初速はレギュレーションでちゃんと決められている。殆どは安全な範囲で行わるから、ちゃんとゴーグルなどをしていれば、BB弾で大きな負傷をすることは無い。まぁ、肌を露出していると痣ぐらいにはなるかもしれないから、気にするなら、露出を控えめで生地の厚い服装をすると良いわよ」
「は、はい」
「じゃあ、まずは以上の事を踏まえて、1人づつ、シューティングレンジに入って貰おうか。撃つ前の安全確認の仕方を確認するわ」
それからネムの指導で二人の安全確認の仕方がチェックされる。さすがに二人共、それらで指摘されるような事は無かった。
「じゃあ、詩織ちゃんから。マガジンを装着して、撃つまでをやって」
「はいっ」
シューティングレンジに入った詩織はおっさんが用意した東京マルイのM4A1を手にする。
「それはベーシックの方だから扱いは簡単だからね」
ネムは笑いながら言うが、初めてエアガンを撃つ詩織は構えからして、へっぴり腰だった。
「う、撃ちます」
詩織がそう言って、引金を絞ると、モーターが動き、初弾が発射された。
「ふーん。まぁまぁ」
へっぴり腰で撃った瞬間、驚いて、背筋が伸びて、上半身が起きた為、弾は的の遥か上の壁に当たった。
「び、ビックリしました」
詩織はかなり驚いた様子だ。
「ははは。初めて撃ったらそんなもんよ。続けて10発ぐらい撃とうか」
ネムにそう言われて、詩織は次々と撃った。撃つ度事に徐々に慣れていくようで。最後の一発は的に当たった。
「やったぁああ!」
詩織が喜んで万歳をする。
「こらこら。銃を変に持つと誤射しちゃうぞっ!」
ネムが笑いながら言うと詩織は慌てて、銃をしっかりと持ち直す。
「ふふふ。楽しかったでしょ?」
ネムに言われて、詩織はコクリと頷く。
「次はわたしやぁあああ!」
摩耶がそれを見て、喜色満面にレンジに入った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます