第20話
「また来ちゃった……」
全感覚消失の後、電脳世界で再び感覚が戻ってくる。それはフルダイブするには避けられないことだ。
有咲もたったいまそれを体感してきたところだ。ゲームをするかしないか葛藤していた中で。
このゲーム自体にストーリー制はなく、基本的に好きなことができる。剣や魔法などの攻撃スキルから、料理、家を買うことだってできる。
しかし舞衣には、いまできることがなかった。 久々にログインをして、さあ何をしようかと考えた時に、武器をもっていなかったために、ドラゴンを狩ることが出来ない、よってお金やBPを稼ぐことが出来ない、と連鎖的にできないことが多くあった。
有咲に武器を預けてしまったいま、ドラゴンに対しては体術で戦うしかない。しかし体術は接近戦のため、ドラゴンに対しては部が悪く、相当な空手好きでもない限り習得はおすすめしない。
一通り迷った舞衣は、武器を返してもらうべく、有咲を探すことにした。
「多分まだ雑魚狩りしてるよね。ランキングは……最終日で2位!?すっごいなぁ」
1位との差はまだあるものの、優勝が狙えないラインではなかった。
ある程度の雑魚狩りポイントの検討はついている。舞衣はそこへ向けて歩き出した。
「【岩落とし】!!」
相変わらずの討伐スタイルだ。有咲の最近の悩みは、効率が悪いことだった。クールタイム中は岩落としが発動できないため、いくら続けていてもあのグレアには追いつけない。煉獄も範囲攻撃ではあるが、そもそも敵がそんなに密集していることが少ないため、あまり《炎の契り》の効果を活用できずにいた。
「えいっ……」
有咲が倒し続けていた鳥型のドラゴンの名は、飛龍ロッドという。有咲の通常攻撃では、倒すのに2発かかってしまい、結局効率は悪いのだ。
クールタイムが切れるまで、何気なくインベントリを確認していた。すると、
「時のブレスレット?」
アチーブメント報酬でもらったものだ。しかし有咲は、受け取ってすぐに確認もせずしまっていたので、いまようやく思い出したのだ。
――――――――――――――――
アイテム名:時のブレスレット
効果:クールタイム20%減少
ただし減らした分の時間の間
素早さがダウンする
――――――――――――――――
まさにいまの有咲の悩みを解決するためのアイテムだった。遠距離攻撃の有咲に素早さは今のところ必要ない。
だが欲を言えば、倒し方に飽きが来ていたので、何か別のスキルがよかった。
「そーいえば、舞衣から預かったこれ、使ってみようかな」
―――――――――――――――――――――
アイテム名:雷槍
スキル【神の鉄槌】
効果:対象一体に強力な雷の一撃を与える。
クールタイム:3分
スキル【電磁ブースト】
効果:2分間、攻撃、素早さのステータス2倍。
クールタイム:3分
追加効果:通常攻撃に雷属性を追加
―――――――――――――――――――――
装備欄に雷槍を装備して、早速使ってみることにした。
「【神の鉄槌】!!」
瞬間、その空には真っ黒な雲が現れ、ロッドへ雷いかづちが襲う。
その雷の直撃したロッドは真っ黒に焦げて、跡形もなく散っていった。
「……つ、つよぉ…………」
少しの間、その光景は頭の中で流れていた。
巨大な水のドラゴン戦で一度目にしているはずだが、いざ自分が使ってみると驚きが隠せなかった。
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