第14話
ドラスレのゲーム内で死亡すれば、始まりの街の中心で蘇生する。
ドラゴンだらけのこの世界で死ぬことはそう珍しいことではない。
だが幽霊に殺されるのはとても数少ないことだ。
その1人が舞衣だった。
「いやぁ、あんなイベントがあるなんて聞いてないんだけどなぁ。書いてあったかな」
あまり攻略サイトを読まずに飛び出してきたので、読み落としがあったかなと思っていた。
しかしここで諦める訳にはいかない。一度に多くの敵に囲まれれば手も足も出なくなってしまう。
そのため何としてでも取らないといけないのだ。
「無くなったアイテムは……セーフ!どーでもいい素材だ!次はあれを買ってもっかいだ!」
インベントリを確認した舞衣は、ある場所へと向かった。
舞衣が向かった先は街の外れにある少し古ぼけた店。
手書きと思わしき看板には墨で『ウラカ商店』と書かれており、中に客はいなかった。
中に入ると、そこは田舎のお土産屋のような感じで店員のNPCすらもいなかった。
「おじちゃーん!」
呼んでからしばらくして、
「いらっしゃい」
店の奥から出てきたのは、だいぶ歳のいったお年寄りのNPC。運営側は何故こんな店を用意したのかは謎だが、確かに店だった。
御札や数珠など、霊的なものに効きそうなものをとりあえず買った。
お金には余裕があった。
店を出て、いざ幽霊屋敷へ!と意気込んでいると、飲食店街から機嫌の良さそうな有咲の菅田が見えた。
「おーい!有咲ー!」
「えっ、ま、舞衣?」
「さっきぶりだね。ところでちょっとお願いがあるんだけどさ」
有咲はインベントリを操作して、1つのアイテムを具現化させた。
「これ、《雷槍》をちょっと預かってて欲しいんだよね」
「えっ、これ舞衣の武器でしょ?手ぶらになって平気なの?」
「ちょっと死んじゃうかもしれなくてさ。死んでロストは勘弁だからね。あ!この武器使ってみてもいいよ。槍としても杖としても使えるやつだからさ!」
「死んじゃうって……、まぁわかった。いつまで持ってればいい?」
「今度取りに来るよ」
「わかった」
やり取りを終え、2人は別れた。
「これで心置き無く死ねるぞ〜!」
あとで舞衣は自分の口でとんでもない事を叫んでいることに気がついた。
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