第150話 悪気は有ったけど、ここまで酷くなるとは思わなかった。反省は後でする。
カクヨムさんのシステムが執筆以外理解できてなかったのと、趣味で書いてるのでギフトなど無縁と思っていたら、ギフトを頂けました。
御礼の仕方が分からないので、冒頭にて御礼を述べさせて頂きます。
これからどろどろした中国地方との付き合いが始まる所なので、大変励みになります。
@tada7348様 誠にありがとうございました。
おまけに今回はキリのよい150話。ここは一つ面白いお話よ降りてこい。と願っていたらこんなん出ました。
なお、山陽では~と書いてましたが吉身氏の本拠は山陰なので中国地方に変更します。@bungomin様、ご指摘くださって有難うございます。
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「なあ、ところで今中国地方の方はどうなっている?」
豊後の土地を見周りながら、見覚えのない山や崖を一つ一つ指摘し、土砂崩れの危険地帯として法面工事をするか、山を崩すように指示していた俺は、7年後の脅威となる中国地方の情勢についえ忍びの長に尋ねた。
こんなふうに俺が豊後国内の内政に集中できているのも、外敵が大人しいからだ。
本来なら大内義長を傀儡とした陶が調子に乗りすぎて毛利元就にまさかの敗北を喫するのだが、そのイベントを阻止するために品物の物流を滞らせ、娯楽品だけは多めにするという
「パンが無いならガンプラでも作っていればいいじゃない」
という、平和な品ぞろえを今は選別しておいた。
まあ、それでも一般商人が武器を流してくるのだが、商品の絶対数が少ないので武具は割高となる。戦争はそうそう起こらないだろう。
しかも、あちらでは選挙制度と言う概念が入ったため、我こそは旗印とならん。という野心家によるドロドロの内乱で戦争どころでは無くなっているはず…と、思っていた。だが、現実は甘くなかった。というか酷かった。
「はっ!毛利家の当主がまず雲隠れし、他の有力領主も姿を消しました」
「はい?」
変だな?てっきり、ワイロや小競り合いはあるものの毛利と他の領主がいがみ合う程度の状態を期待していたのだが、何か見間違いでもあったのだろうか?
「なあ、小領主がワイロを送ったり、談合してどこかの領主へ嫌がらせをしようとか、そんな感じじゃないのか?」
豊後ほど選挙制度を理解できている人間もいないし、エスカレートの度合いもゆっくりで済むんじゃないかと思っていたのだけど、何でそこまで酷い事になっているのだろうか?
詳しく話を聞く事にした。
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「中国地方では選挙制度により、最初は領主たちが自分たちで盟主を選ぼうとしていたようです」
力で争うのではなく、多数決による合議で長を決める。
こうすれば人望に厚い、頼りがいのある人間が多くの領主を正しい道に導き、国は発展する。おまけに無駄な戦いは避けられるし、己たちが決めた代表なのだから責任は自分達にあると納得できる。
……という建前と言うか美辞麗句でだまくらかし…営業トークでコーティングして選挙という制度を魅力的に説明した。
その内容に感激した毛利家からのスパイが本国に選挙制度を持ちかえった。
これが、今までの流れである。
問題は有ったものの選挙のお陰で大友家では家老たちの代表者への不満はそれなりに解消された。という言葉を信じて、中国地方でも同じように領主たちから選ばれた素晴らしい指導者が国を動かせるはずだと動いていると思っていた。
…まあ、その際に何故か候補者の一部が不審な死を遂げたり、急に羽振りの良くなった領主が現れるかもしれないが、それはその国の民度の問題だろう。(暗黒微笑)
「それ、
え?豊後の民度?
ちょっとやんちゃな領主はいたけど、自分が注意したら大人しくなった程度には良かったと記憶しているよ。豊後の民度はそれほど悪くなかったよね?
「若いのに、もう痴呆が始まったんですね」
と失礼な事を言われたが、まあ、ワイロや脅迫は現代でも行われる事なので完全に防ぐのは無理だろう。
だが、中国地方では有力な候補者が雲隠れしていると言う。
おかしな話である。なんで?
「はっ!それが、毛利や江良などの有力な領主が候補者として選出された後、二日目にはワイロが飛び交うようになりました!」
早えぇよ!
うちでもワイロが出始めたのは7日目じゃなかったか?
だが、問題はそこでは無かった。
そこから、異なったのは
「ワイロを送られた領主が、送った側への応援に行き、その足でワイロを送った領主を襲撃したのです」
という。
「…………ちょっとまて。なんで、
ワイロくれたのなら味方だろうに。
「それが、ワイロを受取ったなら自分の味方だ。と油断しているだろうから、そこを襲ったようです」
成るほど。頭いいなそいつ。(皮肉)
「なんでも『それだけの金を出せるなら、協力するより襲いかかって全部奪った方が良い(意訳)』と、毛利が助言したらしいです」
なるほど。流石は毛利狐。
そこまで仲良くなかった相手でも、金で転べばまさか自分を襲うまいという人間心理を利用させてライバルを消したわけか。
どこの世紀末世界だよ。
(※本作はフィクションです。実際の団体、人物、広島地方とは一切関係がありません)
いや、一応悪辣な毛利をけん制するために、褒め殺しとか、候補の協力者を装って、うんざりするほど協力を呼び掛けてヘイトを貯めるなどという、現代選挙の戦法を忍びに流させたり、選挙資金を渡したりはしたが、まさか2日目で選挙を利用して侵略を始めるとは思わなかったよ。
なお元大内家臣で陶と仲が悪かった吉見氏が滅んだと言う。
「毛利は新興の小領主を立候補させて吉見に挑ませたそうです」
新参者の挑戦を叩きつぶそうと注意を引きつつ、吉身と仲の悪かった陶に今がチャンスと情報を送り、始末させたらしい。
えげつねぇな。
それ以来、毛利は報復を避けるために姿を消し、他の候補者も身を守るためゲリラ的に内輪の協力要請を行っているらしい。
節子、それ選挙やなくてヤクザの抗争や。
領主がそんなざまなので中国地方では盗賊が闊歩し、その盗賊の戦利品を潜伏している武士が奪い軍資金にしているという。
向こうの領主は、盗賊を徴税官か何かと勘違いしてないか?
というか、選挙やる気あるのか?
選挙と言うアイデアを出しただけで、自分は一切悪くないのだが、ここまでの地獄が起こっていると聞くと心が痛いどころか予想外すぎて頭が痛い。
自分は一切悪くないのだが。(大事な事なので二回ry)
「豊後でも最終的に抗争未遂はありましたが、中国地方では一瞬にして何でここまでひどくなったんでしょ?」
と、さねえもんがいう。
ロシアとかの軍事政権でももう少しお行儀が良かった気がするのだが…
そう考えていると
「不正を取り締まる機関がないからではないですか?」
と無月さんが言った。
「「ああ、なるほど」」
日本でも不正選挙がおおっぴらに出来ないのは選挙管理委員会と、それを取り締まる警察と言う最強の暴力装置がいるからだ。
共産主義国や独裁国家でも、選挙で暴動や争いが起きないのは問題を起こせば則ブタ箱かあの世に連行する圧倒的暴力が管理しているからである。
不正が当たり前に行われていても、暴力は秩序と安定は担保してくれる。
むしろ、同じ程度の暴力組織が争った時が一番悲惨なのだなぁ…。と納得したのである。
この状態は陶にとっても好ましいようで、下手に攻めて団結されないよう裏で候補者を援助したり、何とか選挙を実現させようと骨を折っているようだ。
「この選挙って陶の脅威から集団で身を守るための代表を決めるための選挙でしたよね…」
おかしな事だらけで、頭がついてこない状態でさねえもんが確認のために言う。
まあ、昨日の敵が今日の味方になるなんて三国志では良くある展開だし、自分を倒すためのイベントを成立させようと頑張る戦国大名がいても良いのではないだろうか?
とりあえず、そんな事を考えながら
『そういえば、毛利たちのいる広島って「仁義なき戦い」のモデルとなった地域だったんだよなぁ』と思いながら、どこの領主に武器を供与すれば、内戦を長引かせて豊後の内政を続けられるかな?と武器商人よりも酷い事を計算するのであった。
今日も豊後は平和である。
この平和がいつまでも続く事を願いつつ、広島に向かって合唱をするのであった。
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『戦後の混乱期を経て、広島の勢力図は広島市では岡の勢力が拡大し、その中でも舎弟・打越、若衆・網野光三郎、服部武などの勢力が台頭した。また呉市では、山村辰雄(山村組組長)の勢力が拡大し、若頭・佐々木哲彦、若衆・美能幸三らが台頭していた。岡組の実力者である打越は1950年から1952年頃にかけて、岡組(広島市)内の網野、服部だけでなく、山村組の若頭・佐々木、美能ら有力者と個々に兄弟盃を交わし縁戚関係を拡大していった。 この打越の縁組は、後に、いわゆる「仁義なき戦い」へと導く一つの要因となった。』(WIKI;広島抗争より)
大内の舎弟であった毛利が親戚関係で家を乗っ取って勢力拡大して行くのとなんとなく似てるなと思いました。まる。
なお※本作はあくまでフィクションです。
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