第54話 大内家への貢物を横からかっさらってみた

「アテブレーベ=オブリガード」

「それ、お別れのあいさつですよ」

知ってるポルトガル語を披露したらさねえもんからツッコミが入った。(「また会いましょう。ありがとう」の意)


 フランシスコ=ザビエル


 元々ポルトガルの一地方の王族だったが、時代の流れ他国からの侵略に飲まれて王さま稼業を父親が閉業。

 カトリックの神父になるためローマで勉強し、元軍人だった同級生のロヨナとか言う人6人と『イエズス会』というサークルを作った。

 このイエズス会は、まだ神父がほとんど訪れた事のないインドより東の地域の布教をする自己犠牲と挑戦心にあふれただった。らしい。

 さねえもんが言うには「コロンブスがアメリカ大陸に着いてから50年程度、まだ数人の商人しか行った事のない東南アジアで布教するとなると、一生欧州には返って来れない旅になりますからね。今で言うなら冥王星とか海王星にロケットで旅立って、布教活動する位壮絶な事業をやろうとしていると思いますよ」

 そういわれると、目の前にいる外人さんの凄さが分かろうというものだ。


話は数日前にさかのぼる。 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 大内義隆さんに外国人宣教師に会いたいとお願いしたら、ものすごく微妙な顔をされた。

「カトリックは同性愛を禁止してますからね。大内との第一回目の面会ではので印象が最悪なんですよ」

 知らなかったとはいえ、ザビエルさんだいぶ口が悪いな。

 とはいえ、欧州の進んだ技術は非常に魅力的だ。

 本来なら山口から戦乱で荒廃した京都へ行ったザビエルさんは、山口の方が平和で栄えている事を見抜いて、4月にふたたび山口に来る。

 本来なら塩をぶっかけられて門前払いされてただろうが、ここでザビエルはものすごい手土産を持ってきた。

 ワインに時計に望遠鏡、そして眼鏡である。眼鏡である。(大事な事なので二回言いました)

 この珍しい宝物に気を良くした義隆さんは山口での布教を許可される。

「その5ヶ月後に、陶の反乱に巻き込まれかけますけどね」

 踏んだり蹴ったりだな。


 実は大内家に来たのは、この手土産を、横からかっさらうためである。

 そのため、正史なら3月に長崎の平戸に帰る予定のザビエルさんを村上水軍に保護させ20日はかかる距離を3日で移動するという超高速帰還を実行。

 豊後での布教許可に空き家を教会として提供するのを条件に、手土産を二倍にして、大友家にも大内へ渡すのと同じ物を渡すように依頼したのである。

 本当なら、大内に内緒で大友家にお持ち帰りしても良いのだが、そこはメンツを大事にする戦国ヤクザ…もとい大名の世界。

「人様の客人おたからを横取りした」などとバレたら抗争に発展しかねない。 

 だが手土産を貰ってないこの時なら、義隆のザビエルへの好感度は最悪なので、事前に仁義を切っておけば「無礼な天竺人を厄介払いできる」と判断されるだろう。

 まわりくどい方法だが、大友家が時計の歯車やレンズ、それに羅針盤の技術を早期に手に入れるなら、このタイミングを於いて他にない。

 実際、義隆さんは

「あのような者たちとお話しても、お坊様方には何の益もないと思われますが…。それにあの者たちは今、京都に出ておりましてな」

 と言いながら紹介状を書いてやっかいばらいしてくれた。

 まさか、既に長崎まで帰還して明後日には豊後に到着しているとは思うまい。


 というわけで山口の教会建立イベントは中止となりました。

 ルートによっては中国地方全体が修羅の国となるので今世紀の建立は無理だろう。


 以上。このような面倒な手続きを経て、豊後にやって来たザビエルさんと会えたわけである。


 なお、第一印象は「あ、禿」だった。

(※諸説あります)

「キリスト教の聖人を前にしてるんだから、もっと別な事に感動しましょうよ」


□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□

 フランシスコザビエルさんは1549年に鹿児島に到着し、山口で大内義隆と面会した後に日本で一番偉い天皇陛下に布教の許可を貰いに行きます。

 ところが、当時の京都は将軍さえも追放される北九州以上の修羅の国の様相を呈しており「こんな所で布教ができるか」と山口に帰ります。

 

 この世界の大友宗麟は、瀬戸内海を牛耳っているため帰りにザビエルさんを補足した状態です。

 ちなみに、教科書にも掲載されているハゲ頭のザビエル神父肖像画(神戸市立博物館所蔵『聖フランシスコ・ザビエル像』)ですが

 じつはこれ、17と推定されています。

 つまり作者はザビエル神父を見た事がなく想像で書いており、肖像画の下の金色の部分には絵の下の部分。金色のところには、漢字(万葉仮名)で「さんふらぬしすこさべりうすさからめんと」(サン=フランシスコ=サベリウス)と書かれているそうです。

 なお『かっぱ頭』という失礼な呼ばれ方もされる頭髪は『トンスラ』というものですが、

 ザビエルが属していたイエズス会ではトンスラの習慣がなく、むしろ髪を伸ばす習慣がある。。(大分市文化財課の人に『断定するのは危険です』と言われました)

 あの肖像画が有名な割には想像図とは知られてないので、本作ではザビエルの神はフサフサという設定で行きたいと思います。その方が話も綺麗におちましたので…



と、呼ばれていたことがわかります。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る