1-15.救出作戦3~

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本文には、暴力的な描写だけでなく、性的な描写も含まれているます。

苦手な方はご遠慮ください。

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 アルス達一行の前に、巨人の様なホブゴブリンと、6匹のコボルトが現れた。


 『精鋭部隊の登場だ』


 「さてと本番といきますか」


 クーガーは一言呟くと、両手を広げて疲れた体を伸ばした。


 するとそれを合図に、5匹のコボルトが武器を振り上げ一行へと向かってきた。


 「今だ」


 コボルトがホールの中央を過ぎたところで、クーガーが合図と同時、姿勢を低くして前に走り出す。

 漆黒の狼も、向かってくるコボルトに向けて、同時に走り出す。


 「ホーリーフラッシュ」


 ミヅキの澄んだ声で唱えたことで発現した、神聖な光が再びホールを白く染め上げた。


 目潰しを食らったコボルトは、両目を抑えて無防備に立ち止まる。


 そこへ光の中を左右に分かれたクーガーと狼が、両サイドのコボルトに襲い掛かる。


 2匹のコボルトが同時に崩れ落ちたときに予想外の事が起きた。


 コボルトたちの後ろに控えていたホブゴブリンが、何を思ったのか目が見えないまま巨大なバトルハンマーを振り回したのである。

 無事だった2匹のコボルトがバトルハンマーの一撃を食らい、空中で屍と化したまま、アルス目掛けて飛んできたのだ。


 コボルトの硬い頭がアルスの顔面を強打し、そのままミヅキもろとも壁に激突した。


 『やばい』

 「きゃーーー」


 アルスは声を出すことも出来ずに、意識が飛んでしまった。


 俺は暗闇の中で、今までになく必死に状況を確認した。


 アルスの体は上から生暖かい物体に押さえつけれていて、とても重たい。


 たぶん2匹のコボルトの死骸が重なってのしかかっているのだろう。


 そして体の下からは柔らくて暖かいミヅキの感触が伝わってくる。


 ミヅキは、抜け出そうともがいているようだから、意識があることがわかる。


 そして肝心のアルスだが、まったく目を覚ます様子がない。


 レーダーから2つの青い光点と3つの赤い光点が接触しているのが判る。


 残るは赤い光点のホブゴブリン1匹とコボルトが2匹だ。


 しかも洞窟の途中にあった二股のもう一方から、増援のゴブリンが来ないとは限らない。


 さすがにクーガーと漆黒の狼だけでは分が悪いか。


 『くそー、なんとかしなければ!』


 俺は焦る気持ちを押さえつけて、ステータスウィンドウを開く。


 『この状況で出来ることを探すんだ』


 アクティブスキルを上から見ていく。


 『ファイアはだめだ、敵に届かないし、背後にいるミヅキがあぶない』


 『剣のスキルもだめだ』


 『弓は持っていない』


 ……………


 『これだ!!』


 俺はあるアクティブスキルをタップした。


 カチリ


 なにかに、全身がはまる感じがした。


 目が開いた。

 薄暗い天井が見える。


 指が動く。


 力任せにコボルトの死骸をどかしていく。


 そう、それは俺が久しく忘れていた体を動かす感じだった。


 俺は場違いにも感動していた。


 「ミヅキ、大丈夫か」


 声は少し甲高い少年、アルスのままだった。

 俺はミヅキの上からどきながら声を掛けた。


 「う、うん。大丈夫」

 「じゃー、ちょっと行ってくる」


 俺は落ちているショートソードとスモールシールドを持って立ち上がった。


 「ぶっつけ本番でどうなるか分からないけど、やってみますか」


 駆け出しながら、俺は戦況を確認する。


 ホブゴブリン1とコボルト2、敵の数は変わっていない。


 クーガーと狼は、別々のコボルトと対峙しながら、中央で暴れているホブゴブリンの相手もしている。


 既に目潰しの効果は切れ、クーガーたちは防戦一方だ。


 クーガーがホブゴブリンの攻撃を避けたところを、コボルトが背後から攻撃をしようとしている。


 俺は、とっさにコボルトの背後に駆け寄りながら、剣スキルのバッシュを叩き込む。


 「アルス、避けろ」


 俺の攻撃を受けたコボルトはのけぞっている。

 俺はクーガーの声に従い、ショートソードを振り切った勢いをそそままに前方に2回転がった。


 と、そこへホブゴブリンの強大なバトルハンマーが、風を切って襲い掛かってきた。


 俺は間一髪攻撃を避けることが出来が、俺の攻撃を受けてのけぞっていたコボルトは、跡形も無くただの肉塊へとなり果てていた。

 「助かった~。よし次だ」


 俺は素早く起き上がり、クーガーに礼をすることなく、次の得物、狼が相手しているコボルトへと駆け寄り攻撃を仕掛ける。


 結果、バトルハンマーを持ち上げているホブゴブリンの相手はクーガーになった。


 俺が振るったショートソードはコボルトの左腕をかすっただけだったが、結果、コボルトの注意が一瞬それた。

 もちろん漆黒の狼が、その隙を見逃すはずがなく、最後のコボルトの喉に食らいついた。


 「よし、こいつで最後だな」


 俺は立ち止まることなく、つぶやきながら、俺と、クーガー、漆黒の狼とで、三角形でホブゴブリンを囲むように位置取りをした。


 クーガーと攻防を繰り広げていた、ホブゴブリンも取り囲まれたことで冷静になったのか、しばし膠着状態になった。


 俺たち三人は、時計周りにゆっくりと回りながらホブゴブリンを取り囲んでいる。


 俺がホブゴブリンの正面に来た時、スモールシールドをホブゴブリンの顔めがけて投げつけた。


 左手で投げたため、速度も狙いもなってないが、それで十分だった。


 ホブゴブリンがスモールシールドを左腕で薙ぎ払おうとするとしたとき、背後から漆黒の狼がその首に噛みついた。


 俺に向けて、苦し紛れに叩きつけれれた鉄製のバトルハンマーを、ホブゴブリンの横に回り込むように転がって避ける。


 地面叩きつけられたバトルハンマーを握る手首を、クーガーがロングソードで叩き切る。


 「ウオォーーーーーーーーー」


 ホブゴブリンは痛みに叫びをあげ、手首から先が無くなった腕が挙げられた。

 切断面からほとばしる血が降り注ぐ中を、俺は両手でショートソード持ち、ホブゴブリンの右脇腹目掛けて飛び込んでいった。


 そして全体重をショートソードへと乗せながら、スラストアタックを放った。


 「スラストアタック! からのファイアー」


 剣先に意識を集中しながら、精霊魔法のファイアーを続けざまに放った。


 「ウゴーーー」


 ホブゴブリンの体に深く突き刺さったショートソードから、暴走した炎が噴き出す。


 しかし図体がデカいだけあり、それでもホブゴブリンは倒れようとしなかった。


 「もういっちょ、ファイアー!」


 諦めずに俺は、もう一発お見舞いした。


 「あちーー」


 俺はあまりの熱さに、ホブゴブリンに突き刺さったままの、ショートソードから慌て手を離した。


 さらなる炎にさらされ、ショートソードの刀身は赤くなっていた。


 さすがに体の中から燃やされるのは効いたのか、巨人の様な巨体をしたホブゴブリンは、口から煙と火の粉を吐きながら、ゆっくりと仰向きに倒れていった。


 ホブゴブリンの首を噛み切らんと、噛みついていた漆黒の狼がようやく離れた。

 恐るべき執念である。


 ズスンンン…………


 …………

 …………


 クーガーは何か言いたそうに俺を見つめているが、あえて無視をしてコボルトが持っていたブロードソードを拾い上げた。

 そしてそのまま奥に続く通路へと向かった。


 クーガーを表す光点は黄色に戻っていた。

 なお漆黒の狼の方は青色のままだ。


 ミヅキが背後から付いてくる気配がする。


 奥へとつながる通路に近づくと、隣接するホールが見えてきた。


 レーダーに黄色い光点が1つと、ピンク色の光点が1つ新たに表示された。


 『ピンク?』


 見えてきたのは、先ほどのホールよりも小さいが、それなりの広さがある丸い空間だった。


 中央には木や骨などで作られた、大きな椅子のようの物体があった。

 もしかしたらホブゴブリンの王座なのかもしれない。


 その隙間から肉感的な裸の女性が二人、隠れているのが見えた。


 「大丈夫ですか?助けに来ました」


 俺は戦闘で高揚している気持ちを抑えて、静かに尋ねた。


 「はぁ、はい」


 裸の女性が大きな椅子の後ろから、ゆっくりと姿を現した。


 1人は紫色の髪、もう1人は緑色の髪をした妙齢の女性だった。


 「!!……ミエコさん……」


 紫色の髪をした女性が顔を上げた瞬間、俺は息をのんだ。


 切れ長の目に顎の黒子。

 村長が通い詰めた未亡人がそこにいたのだ。


 結いあげられていた紫色の髪は乱暴にほどかれ、長い髪は胸の頂を隠すように下へと流れている。

 下半身の秘所から漏れた大量の白濁した液体が、艶めかしい太ももを汚していた。


 着物を着た妖艶な出で立ちから想像していたよりも、胸と腰は遙かににボリュームがあり、色香の漂う生肌は潤いがあり妖艶に輝いて見える。


 そしてピンク色の光点の正体はミエコさんだった。


 隣に立った緑色の髪をした女性も素晴らしい体をしているのだが、ミエコさんの前では霞んでしまう。


 「あなたは……アルサス……様」


 俺は敬称に違和感を覚えたが、今は流すことにした。


 「これをどうぞ」


 ミヅキはだらしなくミエコさんに見とれている俺をにらみながら、部屋の隅にあった服を裸の二人に手渡すと、手と足のロープを切っていった。


 2人とも両手をしばられ、片足に結ばれている紐の反対側が椅子の足につながれていた。


 足に繋がる紐の長さはそれなりにあり、ある程度の範囲を歩くことが出来そうだ。


 ミヅキが渡した服は、激しく破かれ、汚されていて、すでに服としての機能は半分も残されていなかった。

 ミエコさんの隠しきれていない豊満な胸や、破れた個所からのぞく肌は、返って卑猥であった。


 クーガーなどは顔を赤くし、明後日の方向を向いてしまっている。


 俺はミエコさんをじっくり観察していたが、今のところ敵対する気配はなかった。

 しかし警戒は続けようと思う。


 「あの~アスカを知りませんか」


 2人の女性が服を着終わるのを待ち、俺はアスカの居場所を尋ねた。


 「そちらに」


 ミエコさんはホールの左側にある細い脇道を優雅な手つきで指さした。

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