1-7.鑑定スキル~

 次の日の夕方


 アルスは屋敷の裏手で、お風呂のお湯を沸かしていた。


 前回のジャイアントスパイダーとの戦闘で、アルスとミヅキのLVが上がった。


 アルサス(※サイアス)

 LV3

 クラス:村人

 スキル:

 ソード(剣):LV1

  →バッシュ

 アックス(斧):LV1

 ボウ(弓):LV3

  →スリーショット

  →ハードショット

 乗馬:LV2

 ウイップ(鞭):LV1

  →調教

 精霊魔法(火):LV0

  →ファイア

 ※神眼:LV2

  →鑑定

 ※霊体:LV2

  →憑依


 ミヅキ

 LV2

 クラス:巫女

 スキル:

 採取:LV1

 神聖魔法:LV2

  →ヒール

  →ホーリーライト

  →ホーリーフラッシュ

 ボウ(弓):LV1


 相変わらずアルスのクラスは村人のままだったが、ついに※神眼と※霊体のLVがあがり、アクティブスキルを覚えることが出来た。


 ※神眼には鑑定スキル、※霊体には憑依スキルだ。


 いまいち、使いどころが分からないスキルだが、面白そうでもある。


 そこで俺は、アルスが眠りに落ちる前に、急いで実験をすることにした。


 というのも、前回の戦闘で、魂だけの存在である俺でも、アクティブスキルを使うことが出来ること判明したからだ。


 ただし突然、ファイアの魔法をぶっ放す訳にもいかないので、まずは穏便な鑑定スキルを使ってみることにした。


 ちょうどアルスが、薪を動かすための枝を持っているので、枝を意識しながら鑑定スキルを使ってみた。


 鑑定結果

 名称:枝

 攻撃力:0


 『おう、鑑定結果が出た。攻撃力0って……』


 まぁ確かに、この枝でモンスターを叩いても枝の方が折れてしまうよね。


 次に薪割りに使っていた、斧に意識を集中して鑑定スキルを使ってみた。


 …………


 何も起きなかった。


 んーー、もしかしたら、離れたところにある物品を鑑定出来ないのだろうか。


 じゃー所持品はどうだろうか。


 まずはアルスの腰に提げているショートソードから。


 鑑定結果

 名称:ショートソード

 攻撃力:5


 『おー攻撃力が出たよ』


 続けて服と靴、バンダナを鑑定を鑑定してみたが、どれも防御力0だった。


 ちなみに服の名称は村人の服だった。


 『まさか、クラスが村人のままなのは、服のせいじゃないよね?』


 最後に右耳に着けている空色のピアスを鑑定してみた。


 鑑定結果

 名称:★精霊石(水)のピアス(片方)

 スキル:×ウィンディーネ召喚


 『なに!もしかしてマジックアイテムか』


 お婆と同じように水の精霊:ウィンディーネが召喚できる様だ。

 しかしスキル名の前に×が付いていることから、二つのピアスが揃わないと使用出来ないと考えられる。


 現状、もう一方のピアスは、行方不明のアルスの母親が持っているので、ウィンディーネを召喚出来ないのが残念だ。


 『よし、鑑定はこんなところでいいかな。次は憑依だ! さて何に憑依しようかな~』


 憑依といえば人間とか動物だけど、ここにはアルスしかいないしな……


 俺は悩んだ。


 とっても悩んだ。


 そう、アルスに憑依することが出来れば、俺は自由に行動出来るようになるのだ。

 半面、アルスの体を乗っ取るようで悪い気もする。


 結局、ここで試せるのはアルスしかいないと、自分い言い訳をして、アルスで憑依を試してみることにした。


 『ふ~~、いくぞ!』


 アルスに意識を集中しながら、憑依スキルを使てみる。


 …………

 ……


 しかし、なにも起こらなかった。


 『はぁ~、そうだよね~』


 俺は気を取り直して、人が駄目なら物で、ということでアルスが手にしている、枝に憑依スキルを使ってみた。


 …………

 ……


 『おい!何も見えないぞ!!』


 そう、憑依スキルを使った瞬間、視界が暗闇に閉ざされたのだ。


 音なのか振動なのかハッキリとしないが、外から木の爆ぜる音と熱が、先端の方から伝わってくる。

 そして根本?だろうか、アルスの手の温もりを感じる。


 「バキ」


 『え、体が折れた』


 体が折り曲げられた感じがした直後に、俺は浮遊感に襲われた。


 『わぁ~~』


 くるくる回って落ちた後、ジワジワと体中が暑くなる。


 だんだん暑さが、熱さに変わっていく。


 『やべ、まさか火にくべられたか!!』


 俺は地獄の様な熱さを味わいながら、意識が遠のいていった。


 『死ぬ~~~』


 ぷつん


 意識が途切れた次の瞬間。


 炎に包まれ、燃え尽きた枝が目に入った。


 『ふ~~、危なかった』


 どうやら俺はアルスの中に戻ることが出来たようだ。


 ひたすら傍観者でいることしか出来ない退屈な状態も、今はなんだか落ち着く気がする。


 『ん~憑依スキルは危険だな』


 取り敢えず、俺は憑依スキルは封印することにした。


 『仕方がないから、鑑定スキルを使いまくってLV上げでもしてみるかな』


 そう、俺はやっと自分から行動することが出来る手段を、一つだけ獲得したのだった。


 次の日から俺は、片っ端から、アルスが触れたものは全て鑑定していった。


 ちなみにショートボウは攻撃力:3、薪割りようの斧は攻撃力:6だった。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る