第3話 己の処遇…
目が覚めるとそこは異世界でした。
遡ること数時間前…
ここはどこだ…
体を起こそうとするが全身がひりつき思うように動かすことができない。
「まだやめときな。魔力酔いしてるのに下手に体を起こすんじゃないよ」
甲高い女の声が部屋に響く。
「うわ…あああああああああああああ」
あの時の光景が脳裏をよぎり思わず声を上げた。
「落ち着け、どアホ。京(けい)は今おらん。何を大声あげてんねん」
頭をペチッと叩かれ冷静さを取り戻す
「痛い!」
「頭は冷えたか?一之宮高校二年、粗動 結(そどう ゆい)」
「どうして俺の名前を?!ってその体は…」
そのフォルムはファンタジーやライトノベルに出てくる獣人そのもので、少し恍惚なイメージを持たせながらも可愛らしくもふもふとした耳が今もひょこひょこ動いている。
目は赤く宝石のように綺麗だ。
髪は少し青みがかった灰色。
まさにアニメのキャラクターそのものだった。
背丈は俺よりも小さい140くらいだろうか。
だがその愛らしい容姿とは裏腹にどこか冷たいものを感じた。
あの時の院瀬見京(いぜみ けい)のように。
「あーそうか。まあ、あっちの人やったら驚くはな、この容姿。まあ、自己紹介とか説明とかしてあげたいんは、やまやま何やけど私、無駄なことは嫌いやからその前にあんたにはある人に会ってもらう」
「ある人?」
「そう…私らの頭(ボス)や、これはあんたの生死に関わること。精々気張れよ。粗動 結」
「それってどういう…」
「ほら、噂をすればお迎えがきたみたいや、話は後や」
その言葉に続くように扉が開かれた。
「ガイズ、粗動を会議場に、抵抗するようなら殺して構わないとのお達しや」
「ヘイヘイ、それが噂の小僧か?隊内でもその話題で持ちきりだ。へーなんとまあ、運のない。逃したりとかできないのか?リーセルト」
そう言葉を紡ぐのは巨漢の男だ。色黒の肌に大きく刻まれた十字の額の傷が
武士(もののふ)としての覇気を感じ取ることが出来る。
まだイマイチ状況を把握できない俺は口を閉じ成り行きを見守るしかない。
それに二人の腰にはそれぞれ巨漢の男は双剣を、小さな少女は拳銃を何の惜しげもなく腰にぶら下げている。
「逃したりなんか出来るわけ無いだろ?上からの命令だ。そんなことすれば、私達の首がバイバイしちまうよ。まあ、とにかくあんたはパフェの所にこいつを連れてけばいいの。深いこと考えるな。このボケ!アホ!」
「なんともまあ、ひどい言われようで…。とにかく連れてきゃいいんだろ。連れて行きゃ。おい坊主、悪いが今からもう一眠りしてもらうぜ」
「おい、今から何…を」
その言葉を皮切りに俺の意識はまたもブラックアウトした。
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