第1話 高嶺の花
ポツポツと学校に向かって歩いていく。
しばらくして学校に着いて靴を履き替えて教室の自分の机へと腰をおろし、寝たふりをする。
童貞、根暗、コミュ障という陰キャ三原則を満たした俺には当然のことながら友達は誰一人いない。
ただ別にそれを苦と思ったことは一度もない。その状況を見て可哀想と思われるのが屈辱なだけだ。
好きで一人でいるということをクラスの陽キャ及びウェイ系には理解してもらいたい。
そんな俺を見かねてか、このクラスの委員長であり学校カーストの上位に君臨している陰瀬見 京が放課後は決まって話しかけてくれる。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能という三拍子が揃い全てと言っていいほどに恵まれている才女だ。
目鼻立ちがくっきりしていて髪は黒のロングのストレート、飾りっ気のないその髪型や容姿でさえ様になっている。さらに当然のことながら可愛さがもう半端なく滲み出ているのだ。
制服を着ている彼女はまるでガールズショーにでるモデルのようだ。
一万円札でおなじみ、福沢諭吉が人類皆平等であるといったらしいが、彼女と俺を比べて是非その言葉を訂正していただきたい。
はぁ…本当は早く家でス◯ブラをしたくてうずうずしているのだが話しかけられれば、話さない訳にもいかない。
ここで彼女を無下にすればたちまち学校中に噂が広がり陰キャ生活どころの話じゃなくなってしまう。
国外追放にまで追い込まれるかもしれない。それだけはなんとしても避けなければならない!!それにかわいい女子に話しかけられるのはに悪い気はしない。
「朝霧くん。今日はお早いお帰りですか?気をつけて帰ってくださいね」
彼女は天使のような笑みを浮かべると俺にきれいな所作で手を振ってくる。
あぁ…その仕草マジ満点
彼女にしたい…。どこぞのオシャレなクレープとかをアーんし合いたい。
だがそんな夢現を見ている場合じゃない。
俺に精々出来ることと言えば、
「う、うん…」
キョドって返事をすることぐらいなのだ。
我ながら何たる陰キャ具合だろうか。
理科で習うドクダミくらいの存在感しかない俺を優しく包み込んでくれるのは君しかいない。
んーなかなかキモいな、今の俺
まあ、学校の七割から八割が惚れる美少女だ。ほだされるのも無理はない。ちなみに残りの二割から三割は親衛隊。
もはや人ではなく神として崇めている。
鼻の下が伸びてしまうのも分かってほしい。
まさに彼女は高嶺の花、俺とはまさに月とスッポン、いやすっぽんに失礼か。話しかけられただけでも嬉しいものだ。
よし、家に帰ってラノベを読んでゲームをして惰眠でも貪るとするか
そう通学路でニート確定コースを心に誓い、俺は家路に着くのであった。
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