第5話 波打ち際のビール

週末は初夏の陽気だった

江ノ島駅で降りる


彼が先に着いていてビールを買ってくれていた

「待ちきれなかったから1本先に飲んじゃったよ」

「ごめんごめん、かんぱーい!」




工事中の海の家を抜けると海が広がる

西日に照らされた波がなんとも言い難いほど美しかった


裸足で波打ち際を歩く

瞬間しか永遠に残るものなんてない、なんて思いながらひたすら歩く



「別れようか」

「え、なんで?こんなに美しい景色があるのに」

「お前、他に男いるだろ?」

「いるわけないじゃん」

「信じられない」




改札に入るとき、夢が壊れた音がした

もう彼とは一緒にいられない、現実を理解した

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