二節

『悪』

数十年前に戦争が勃発した。それは二つの経済大国のいざこざが原因であった。二つの国の境目から新しい鉱石が発掘されるようになったのだ。初めはお互いが干渉しないように採掘を続けていたものの、それから生み出される商品があまりに画期的であり、需要が高まったことで採掘が間に合わなくなってしまったのだ。

二つの国はまず武器を持った。当時狩りなどで大活躍していた銃を改造して威力や射程などを伸ばしたり、行使されれば脅威になるような武器を作っていった。そしてそれは実際の戦場で使用された。しかし両軍は銃と同時に開発していた盾を完成させ、やがて銃で相手を追いやることは出来なくなり、両軍の戦線は一時撤退した。

次に両国は銃よりも威力の出る大砲を作りそれを持ちて再度戦場に出た。その大砲は今までの盾をなきものとし戦場で大きな戦果を挙げた。そしては両軍人員を大きく損失して戦線は崩壊した。

そして次に両国は遠くから狙えるミサイルを作った。しかしながらミサイルは一発も打たれることなく、もちろん一切の戦果を挙げることもなかった。

そして結果的に戦場で罪を犯した者はいなかった。大量の人間が銃で撃たれ大砲で爆撃され、死亡したが、それは相手を殺すためではなく、自国の利益のためだったからだ。しかしながら多くの政治家や軍人は罰を与えられた。人々の権利を失ったとして。そしてそれぞれの国は国力を大きく損ない、共和国として合併した。

悪事とは単に人を傷つけたり殺すことではないと証明された。

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