11話 この世界のよくある話。パート2

〈警告。マスター。外環温度上昇中。現在9000℃オーバーです。更に上昇〉


 エクセリオンに乗り込んで直ぐに警告警報が響く。


「エクセリオン。何が起きている」


〈現在解析中。……解析完了。マスター。この星は惑星プラトンではありません。レニウム鉱石製の人工衛星です。海と思われたものは融解したレニウム鉱石です。ダンジョンが楔になっていたと思われます。衛星が楔を失い球体を失い始めています。マスター。この人工衛星は白色矮星の衛星です。恒星内部に引きずり込まれています。収縮率上昇中。恒星のスターバーストの恐れ有り。臨界点まで後1200秒予測。エクセリオンはこの宙域からの退避を推奨〉


「ふむ。どういうことだ?確かにデータは惑星プラトンを解析していた。ふむ。……ふふふ、ははは、ふぁあははは!成る程。時間のズレはその為か!これは一杯食わされたな。いや、流石最難関度世界と良く言ったものだ。あの駄女神もやりおるのう。さてと……エクセリオン艦首をこの星に向けろ。垂直軌道」


〈ラージ。艦首回頭。対象に対し本艦を垂直軌道開始〉


「うわわー!え、エド様落ちー!ひぎゃ!」


「前方空間解析開始。X軸掌握。Y軸掌握。Z軸掌握。解析完了。原子分解。収集。」


 キンッ


 目の前にあった高熱を帯びた衛星諸とも恒星までも跡形もなく消えていた。


 後に残されたのは暗い宇宙と静寂のみであった。


〈流石です。マスター〉


「ふん。状況報告。周囲5

 光年での被害予測」


〈解析中。検知。ここより3光年先に惑星プラトンを発見。恒星消失により一時的に重力異常が消失しました。尚、白色歪星のスターバーストが起きていた場合惑星プラトンは死滅する予測96%でした〉


「ふむ。結果alllightと言った所か」


「ぶぃったいなぬがぁ」


 艦橋のフロントガラスと口づけを交わしているリーシャが軽いパニックを起こしていた。


「惑星プラトンの光量問題はないのだな」


〈はい。3光年程離れていましたので問題ないかと〉


「ならば良し。では惑星プラトンに向けて出航と行こうか」


〈はいマスター……警告。高速にて接近する多数の編隊を感知。攻撃してきました。シールド展開。自動防衛システム起動〉


「ふん。勧告も無しか。先程の恒星エネルギーを使う。光術ブラスター準備」


〈光術ブラスター広域展開。空間掌握。誤差0。問題ありません〉


「殲滅」


〈光術ブラスター発射。結果報告。殲滅しました〉


「うむ。よろしい」


「え、エド様?一体何が」


「ぬ。随分と空気と化していたではないかリーシャよ」


「いえ、展開が怒涛過ぎて付いて行けませんでした」


「ふむ。何ちと主の里帰りの前に片付ける案件が出来ただけだ。気にするな」


「は、はあ」


「エクセリオン。奴らの拠点・総数・範囲の特定」


〈索敵終了しております。ここより10光年先のホワイトホールから派生しているようです。ホワイトホールからここまでの惑星及び恒星は奴らに食い荒らされた様です。星が存在しておりません〉


「え?でも幾つか光点が点滅しているのは?」


〈リーシャ様。そちらは奴らの巣です〉


「ふむ。移動していないならば丁度良い。広域分解するか」


〈かしこまりました。解析データ移行します〉


「うむ。演算が面倒だが一度で済むしの。しかし、ホワイトホールはどうするかの。ふむ。範囲限定の広域分解を奴らでリサイクルするかの。ふむふむ。手間入らずじゃの」


〈流石マスターエクセリオンも賛同いたします〉


「ならばまずは周りを綺麗にしておかねばな。広域分解座標ロック。起動」


〈起動確認致しました。分解による殲滅完了です〉


「ふむ。ならばホワイトホールに範囲限定広域分解起動。バイパスセット。以降自動分解演算は我が管理する」


〈かしこまりました〉


「えーと。エド様?」


「ふむ。リーシャよ。待たせたな。今終わったぞ。では、主の里帰りを始めるかの」


「えっと。はい」


「エクセリオン。惑星プラトンに向けて出航」


〈かしこまりました。エクセリオンΣ出航します〉




 無限に広がる大宇宙。惑星プラトンに向けて進むエクセリオンΣ。この先も探究者は我が道を突き進む。


 第一部 完

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