第8話 この世界のよく縋る話。

 1000階層を越えた辺りから一階層事の探索時間が減った。


 我が画策していた計画に必要な物資が概ね揃ったので第2フェイズに移行する事にした。


 途中、リーシャに空中型や機動力型、水中型や溶岩型の魔物相手に回避と防御の訓練を延々とこなして貰った。


 新しくエレメンタル・フィールド発生機構を構築し組み込む事により、あらゆるフィールドに対応出来るようになった。


 後は、宇宙空間の動作テストだけか?


 それと光学迷彩用のインビジブルスキンと煙幕、そして囮用の人形バルーンを10基ほど構築し組み込んだ。


 これで、リーシャにとっての強敵が現れた時でも逃げ切れるだろう。


 データは順調に集まり、バージョンアップも滞りなく出来た。


 さて、そろそろか。


「ふむ。リーシャよ。あと数十日もあれば、このダンジョンを攻略する事が出来る。それでお主の今後を考えておくように」


「え?エド様。どういう事ですか?」


「この後の主の事じゃ。強制とはいえ主には今まで世話になった。が、このダンジョンを抜ければ後は自由の身じゃ。いつまでも我に付き合わせる訳にも行かんしのう」


「そ、そんな!何を言っているんですか!私はエド様に救われた身です!エド様に付いていくに決まっています!」


「だが、それはダンジョンを出るまでの契約だったではないか」


「それでもです!本当なら私は生きていなかった。化物に食べられ死んでいたのです。それを救って下さったのはエドワード様!貴方です!」


「だが、主は生きておる。自由意思をもって。ならば、主は主の為に生きるのは道理ではないか?」


「私は貴方のものです。私の意思は貴方と共にあります!ですからどうか!どうか……お捨てになるような事は言わないで下さい。お願いします。お願い……します」


 そう言うとリーシャは泣き出してしまった。


「うむ。しかしのう」


「うっ、うっ……お願い……しま……」


「共に来れば、主にとって辛く苦しい人生になるかもしれぬのだぞ」


「うっ、うっ……それでも……離れたく……ない……です」


「ふむ。まあいい。今はまだな。ダンジョンを出るまで時間はある。その時まで悩め。その時になっても考えが変わらぬならば……ふん。考えてやろう」


「は、はい!ありがとうございます!エド様!」


(ふん。キラキラした顔で見おって。馬鹿者が)


「うむ。では行くぞ!リーシャ。」


「は、はい!エド様!」


「残りはあと……」


 ダンジョン脱出まであと385階層。






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