第5話 この世界のよく思う話。

〈sideリーシャ〉


 今日も今日とて訓練の毎日。


 エレメントの訓練から始まり、剣術、マナーレッスンと続き、最近は算術の応用や定型文の役職別応用文の使い方。


 運動系では、徒手格闘、棍術、弓術までやり始めた。


 フェイントのかけ方や実戦形式の組手も増えてきたが基本は今まで学んだ事の繰り返し。


 エド様は一体私を何にしようとしているのか。


 それなのに、エド様は私に殺しをさせたことは、一度もない。


 いつも階層を上がると一瞥した後直ぐに分解を始める。


 そして、エド様の探究が始まり、あるものは再構築されイベントリに収納していく。


 最早、作業といっても間違えではないはず。長時間考察する事もあれば、直ぐ探索に戻る時もある。


 因みにエド様の考察時間が訓練の時間になる。


 訓練に付き合ってくれることも度々あるので一度邪魔になっているのではないか心配で聞いたことがある。


 しかし答えは同時に考察しているから問題無いとの事。


 どうやら、私の訓練はエド様にとって片手間で出来るようだ。


 だってそうじゃなきゃ考察と探索同時にしてるはずだもの。


 それを思うと安心の様な、釣れない様な。


 なんとも複雑な気分になる。


 私、エド様に与えてもらってばかりだ。


 エド様の役に立ちたい。


 私もエド様に何か与えたい。


 エド様の不意に見せる笑顔が見たい。


 エド様の苦笑交じりに頭を撫でてくれる温かい大きな手が好き。


 いつも気に掛けて声を掛けてくれるその優しい声が好き。


 エド様に触れた時の体温と香りが好き。


 エド様が好き。


 好き。


 好き。


 ……。


 って!なに考えてるの私!あーもーバカバカ!


 はぁ。


 どうしよう。


 私、エドワード様に焦がれてる。


 こんな気持ち、きっとエド様に迷惑だろうし、エド様の探究の邪魔しちゃうよね。


 うう。


 胸が痛いよ。


 エド様ぁ。



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