第3話 この世界のよく見る話。

「あの、エド様。因みに今は何階層なのでしょうか?」


「うむ?最下層だからな。2558階層だな」


「に、二千ごひゃ!……エド様。本当に帰れるのですか?」


「うむ?だから直ぐには帰れないと言ったではないか」


「は、はあ。そう言えばそんな事」


「いいから着いてこい」


「あ、ひぁい!」


 探索が始まる。


「ふむ。この鉱石は……成る程、面白いな。分解・構成・インゴットに構成。ストレージに収納」


 目の前で起きる光景に唖然とするリーシャだったが10日も過ぎれば見慣れた光景になる。


「ほう。シルクスパーダか。良い素材が取れそうだな」


「ひえー!く、蜘蛛!」


「ええい、くっつくでない!全く魔物が出る度毎度騒ぎおって」


「す、すみませんエド様」


「ん?リーシャお主、何やら匂うぞ」


 しゅばばと飛び避けてすまなそうにするリーシャ。


「申し訳ありません。ですが何分水浴びも出来ず着替えもないもので」


「ん?水は自分で出せるだろう。着替えは……うむ。少し待て」


「え?」


 シルクスパーダのエリアを纏めて分解・構成・再構築し上質のシルクを織り成し、何着かのワンピースを構築していく。


「ふむ。これで用が足りるだろう」


 そう言ってワンピースを渡すと申し訳無さそうにリーシャがモジモジし始める。


「あ、あのエド様。こんなには持ちきれませんし、そ、その言いにくいのですが、出来れば下着とタオルも頂けないでしょうか」


「ふむ。確かにそうだな。どれ、着ないのは寄越せ。仕舞っておく。後は、下着とタオルか。ふむ。この際だ。必要物は全て言え。今此処で作る」


「あ、ありがとうございます!エド様!」


 そして、数種類の下着やタオルに加え、靴や靴下、手袋やリボン、生活用品やリフレクトシールドが展開出来る腕輪等の危機回避アイテムetc……。


 着飾ったリーシャは何処ぞのお姫様如く見違えていた。


「ふむ。リーシャ。ついでだ、此処でエレメントの訓練をしておけ。分からなくなったら聞きにこい」


「は、はい!エド様!エド様はどちらに?」


「我は少し考察する事ができた。暫し待て」


「か、畏まりました」


 暫くして何度か躓いているところを聞きに来て見本を見せるとウンウンしながらまた訓練に戻って行くことを繰り返していたリーシャを見つつ思考を巡らせていた。


「ふむ。やはりこれでは、まだ机上の空論だな。リーシャ!探索に戻るぞ」


「は、はい!エド様!」


 一層事に分解・収集・解析・考察・証明を繰り返しつつ階層を上っていく。リーシャも途中で拾った剣擬きで素振りの練習をしていたので、立ち回りの考察を述べ、より鋭利で洗練された無駄の無い剣技を身に付けていった。


 そして左右で器用に剣擬きを扱っていたので、その剣技は次第に二刀流に進化していった。


 なので軽くて鋭利でどんなエレメントにも耐えられる強靭な双剣を作ってあげたら、すごく喜んでいた。


 その笑顔が微笑ましくて、ついでに動きやすいアーマードレスと籠手も作ってやった。


 やはりとても喜んでいたが、格好がどうにも、お姫様から姫騎士にクラスチェンジした感じだった。


 ダンジョン脱出まであと2086階層。








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