今日も昨日に引き続き天気がいい。

 今日も昨日に引き続き天気がいい。

 気分が良かったので布団を干してみた、多分ふかふかになる。

 少し時間に余裕があったので窓際で日向ぼっこをしていたら、青薔薇の腕輪がカタカタ震えたけど無視しておいた。

 メンテでも戦闘でもない時にホイホイ解放しない、癖になられると面倒だし。

 それでも腕輪はカタカタ震える、順次更新している暴発防止用のプログラムはしっかり働いているようで、それ以上は何もできないらしい。

 それでも振動が気になったので外してちゃぶ台の上に放置する事にした。

 日陰に追いやられた腕輪は抗議するようにガタガタ震える、うるさいので暇つぶしに買った古本を重石にする。

 それでやっと大人しくなった。

 その後うっかり居眠りしそうになったけどなんとかこらえる、今から仕事に入る。


 今日は在庫が減りがちな対人間用の治療用霊石を量産する事にした。

 耐火と対毒も少し減っているけど、こっちは後回しで。

 オーダーメイドは昨日終わらせた花蜘蛛以外にないので急ぎ作らなければならないものはない。

 ……オーダーメイド、ちょっと割高にしすぎたかもしれないなあ。

 値下げも考慮すべきだろうか、でもそれで増えすぎると手が回らなくなるのでしばらくは現状維持で。

 と、思いながら手だけはしっかり動かす。

 同居人からちょっとだけ安めに買い取った霊石に魔法陣とキサラギ印を刻んで完成。

 慣れているのでそれほど手間ではないし道具の補正もあるので、午前中だけで10個できた。

 10個できた時点で正午のアラームがなったので昼食にする事に。

 昼食は……面倒だったのでトーストに作り置きの卵サラダを乗っけて適当にマヨとチーズをかけてオーブントースターでブンしたものを。

 いただきますと手を合わせたところでちゃぶ台の上で古本が吹っ飛んだ。

 一瞬何事かと思ったけど、そういえば腕輪の上に置いていたことを思い出す。

 出てこられないように重石まで乗せられてご立腹な茨姫が、飛び出した瞬間に皿の上のトーストをぶんどってヤケクソ気味に一気食いしやがった。

 食べ物を食べられるように作ってないんだけどなんで普通に食べてんの?

 即座に緊急停止コードを送って動きを止める、少し抵抗されたけどすぐに腕輪に戻った。

 ほっと息をつく、せめて起動時以外は勝手に動かないように何度もプログラムを改良しているのに、なんで勝手に起動するのか……

 中身を追い出せればそれで済むんだろうけど、未だに分離方法がわかってないんだよね。

 緊急停止コードも少しとはいえ抵抗されたし……どうすりゃいいのかね?

 仕方がないのでオーブントースターでブンすらしてない食パンを一枚だけ詰め込んで腕輪の修正を行う事に。

 メンテ中に動いたらほぼ確実に事故って壊れるぞと脅してあるので、メンテの間だけは普通に大人しくしていた、何故普段からそれができないのか。

 とりあえず、起動してない時の感覚機能を全カットして暴発防止プログラムをより複雑なものにしておいた。

 それから誤飲防止のために起動時のエーテル体の口元に頑丈なマスクを追加。

 どうせあってもなくても意味がないので、

いっそ口そのものを消してしまおうかとも思ったけれど、さすがに可哀想だと思ってやめておいた。

 ちなみに食べられたトーストは痕跡らしきものも見つからなかった、消えたのか即座に魔力に回ったのか、後者だといいのだけど。

 大体終わったので動作チェックするかと思ったところで同居人が帰って来たので、今日は早いねと言ったら無言で窓の外を指さされた。

 真っ暗だった、いつの間にか日がすっかり暮れていた。

 洗濯物と布団を干しっぱなしにしていた事に気付いたので慌てて取り込みにかかった。

 洗濯物は普通に乾いていたけど、布団は全然ふかふかじゃなくなっていた。

 ショック。

 全部あのポンコツのせいだ、本当ならあれは現時点でのキサラギの最高傑作のはずなのに、変なのに憑かれたせいで……

 いつか絶対追い出してやるってずっと前から決めてる。

 ポンコツの動作チェックは後回しにして先に洗濯物をせっせと畳む。

 台所は同居人が使ってるし、といっても今日はもう料理する気が失せたからまたカップ麺だ。

 なんて思いながら洗濯物を畳んでいたら、よりにもよってカレーの匂いが。

 作り置きのを温め返していただけっぽい、やけに準備が早かったし。

 そこで昼食に食パン一枚しか食べていないことを思い出す。

 おなかすいた。

 カレーってなんであんな暴力的な匂いなんだろね。

 それでも我慢して洗濯物を畳み終えて、戸棚からカップ麺(カレー味)を取りに行こうと思ったらお声がかかった。

 「食え」とちゃぶ台を指し示された、そこにはご丁寧にカレーが2人分。

 キサラギが作業にかまけて夕食をまだ食べていない事に呆れてついでに用意してくれたっぽい。

 本当にいいのかと聞いてみると、「さっきから腹の虫なりっぱなしでうるせぇからさっさと食え」って。

 そんなになっていただろうかと思いつつ、ありがたくいただく事にした。

 空腹も相まってカレーはすごくすごく美味しかった。

 食べてる最中に何をしていたんだと聞かれたので、茨姫がまた勝手に起動したから暴発防止プログラムを強化していたことを伝えたら、同居人は「またか」と呆れていた。

 そういえばこれで何度目だっけ、だんだんいたちごっこじみてきたな……

 食べ終わった後、後片付けを引き受けて、その後に動作チェックを行った。

 緊急なメンテをさせられた茨姫はプンスコしていたけど、すぐに自分の口元を覆うマスクに気付いてムンクの叫びみたいなポーズをとった。

 普通にショックだったらしい、何度も外そうと頑張っていたけど、無駄だ。

 抗議のつもりなのかちっちゃい手でペチペチ叩いてきたので、誤飲防止だ今日みたいに変のもの食われて故障されたら困ると軽めにデコピンしておいた。

 イジイジしてたけど、全部自業自得だ、初めからおとなしくしてりゃキサラギだってこんな面倒なこといちいちしないのに。

 これ以上行動を制限されたくなかったらおとなしくしていろといつもの忠告をして、腕輪を閉じた。

 その後は風呂に入って掃除もして、何もする気力がなかったから日記だけ書いてそのまま寝る。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る