2日目、3日目
9月22日、春の命日……2年経ったなんて信じられなかった。
トレーネの元従業員だったのもあり、特別価格で料理を提供し、時間も短縮した。
夜のバイトもしている茶葉もこの日は休み、僕の自宅に止まって春との思い出に浸った。
「もう2年だよ……」
「いや、まだ2年さ」
いつも強気な茶葉も涙を流して語る姿に胸を打たれたんだ。
9月23日、また試作して帰る途中、懐かしい歌を歌う声が聞こえてきた。
「待ってた……君のこと」
綺麗すぎる微笑みを浮かべる僕は違和感を感じた。
そんな時に燈野店長から電話が来た。
でも、燈野店長に助けを求めることをせず、諦めたんだ。
「タイムリミット……もう、ええよな?」
腹の底から出たような低い声に、僕は背筋を凍らせた。
語りかけながら僕の首を撫で回した後、前から首をしめようとしたミューデさん。
それなのに、彼は突然怯え、離れていく。
原因は付けていた十字架のペンダント。
悪魔の魔除けになったようだ。
だから、僕はそれを外し、ミューデさんに手を差し出した。
すると、彼は息を吹き返したように僕を押し倒し、首を締める。
ああ、これが春の苦しみか……と感じていたら、彼は離したんだ。
人が変わったかのように高く穏やかな声で話す彼は春の話を聞かせてくれと言い出した。
家に帰り、試作品と軽く作った料理をアテに話をする僕ら。
最初は春の話をしていたはずが、お互いのパートナーの想いをいつの間にか語り合っていた。
「僕の大好きなイオちゃん……絶対離れたくないんだ」
なぜか僕を抱きしめながら言うから、僕はちょっとときめいたんだ。
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