逆説

幸せを知っているから泣くのだと

悲しみしか知らなければ

それが当たり前になってしまっているだろう


温もりを知っているから

冷たさに凍えるのだと

それは愛された証なのではないだろうか



そんなことを考えたりしている

幸せや温もりの感触を

忘れてしまうのが怖くて


確かにあったものだと

繰り返し言い聞かせて

覚えておきたくて


この頼りなく揺れる心に

できるなら深く深く

刻みつけておきたくて

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