師走哀歌

街にはクリスマスソングが流れ

コロナ禍ではあっても

其処にはささやかなる華やぎがある


人々の暮らしの息吹を

病院帰りの道すがら感じなから

わたしは俯きながら歩く


父の手の温もりを思い出す

すっかり細くなった指の感触

頬のけた寂しげな横顔



バス停に着いたら

いつの間にか雨が

ぽつりぽつり静かに降り始めていた


この雨はまるで涙みたいだ

冷たい頬には温かくさえ感じる

そんなことを思いながら……



バスは、まだ来ない

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