朽ちた羽

子供の頃は

大人になれば世界は広がり

自由なんだと思っていた


さなぎから何か美しい羽を持つものに

なれるはずだと夢見て


羽があっても必ず飛べるとは

限らないのに

何故あれほど信じられたんだろう


さなぎから羽化した時に

わたしの羽は知らず朽ちていた


縮こまった羽を傷だらけの両手で

それでも伸ばして伸ばして


飛べると思っていたわけではないけど

飛べないことを認めたくなくて


羽の残骸あとはまだ背中にある


時々、うずいて

わたしに夢の名残をみせる

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