柚子茶の温もり

クシュンとくしゃみをひとつ

温かいものが

恋しい季節になってきました


両手で抱えたカップから、ひとくち

喉から胃の

じんわりと落ちていくのは

あなたもわたしも好きな柚子茶ゆずちゃ


この優しい温もりを

届けることができたらいいのに、と

湯気の向こうに

あなたの顔を思い浮かべて、もうひとくち


ふわりと広がる柚子の香りが

ささくれだった心と疲れた身体を

包み込んでくれるようです



時計が時を刻む音と栞を挟んだ文庫本


こんな風に

わたしの晩秋の夜は過ぎていきます

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