帰りは未定

一文字を書いても

なかなか言葉にならない時は

やっと言葉にしても

文章になる前に

いつの間にか消えている


名残のようなものはあるのに

それはもう辛うじての気配で

こもる芯熱のように

空気の重さをまといつかせたまま

思考が止まってしまう


大丈夫だ、できる、と

思った次の瞬間に

湧いてきていたはずの力は

あっけなく行方不明になってしまって

また暫し硬直カタマル


こんな時には自分を少しばかり

放っておくしかない

わたしはとりあえず

できるだけ厚い本を本棚から選んできて

その世界に没頭する


「いってきます」

と呟いたら、心はお留守現実逃避


── 帰りは未定

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