秋風を感じながら

ベランダで洗濯物を干していたら

風がフワリと髪を揺らして

通り過ぎていった


いつの間にか

聴こえなくなっていた蝉の声

空も高くなって、みそら色に澄んで


真っ白な雲がゆっくりと流れていくのを

ぼんやりと目で追いながら

秋風を頬に受けていた


こんな風にして季節は往きすぎて

取り残されそうなわたしは

不意に泣きそうになって戸惑うのだ


足元に命を燃やし尽くした蝉

儚くも懸命に生きた姿、そっと土に還す

哀れみたくはない一つの命の果て生き様



部屋に入ろうとしたら

しまい忘れていた風鈴が

ちりん、と小さく鳴った

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