曼珠沙華

そして……

秘めている毒を

この炎のあかで隠しながら


   *


もうそんな季節になったのだな、と

吸い込まれそうなあか

思わず足を止めて魅入る


色々いろいろあって

疲れ果てて魂の抜け殻みたいになって

それでも相変わらずのしぶとさで生きてて



もうだめだ、どん底だ、って

思ってきたし、今も思うけどそれでも

この身体イレモノ

失くすわけにはいかない


今は抜け殻みたいだけど

穏やかな魂が

其処に戻れるような時がきたとしても

還る場所がなくては戻れない


だから


生きることは相変わらず苦しく辛いけど

それならせめて


その灼熱どくを身に秘めながら

精一杯、命を燃やすように咲く


このあかい曼珠沙華のようでありたい


そう、思った。

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