522球目 こんな打球は見たことがない

 グワラギィーン!!



 打球は天高く上がる。あっ、上がり過ぎだ。ピッチャーフライになっちまう。



 夜野よるのがグローブを上げて、ボールを待つ。しかし、打球の勢いはとどまらず、バックスクリーンへ一直線。



「入るなぁ!」



 友野とものの叫びもむなしく、ボールはスコアボード上の日章旗より高く飛び、場外へ消えた。甲子園史上最長飛距離のホームランだ!?



「ホ、ホ、ホームラン!」

「よっしゃああああああい!」



 番馬ばんばさんはガッツポーズして、1塁を駆ける。代走の白山しらやまは口をあんぐり開けて、バックスクリーンを見えていた。



 俺達はクソデカホームランが信じられず、何度も目をこする。確かに、9回裏に2点入っている。サヨナラ勝ちなのだ。



八百谷やおたに、おおきに!」

「う。うん。さすが番長、しびれるホームランやったわ」



 予選決勝の勝ちこし満塁ホームランに続き、甲子園1回戦でも特大ホームランを打つとは、恐ろしすぎる……。



 俺達は試合後の挨拶へ向かった。



「センバツ優勝校に勝ったんやから、優勝しろや」


「ああ。優勝したら、埼玉翔出が1番手ごわかったと言うよ」



 俺は友野と熱い握手を交わした。



「ありがとうございました!」



 浜甲はまこう学園はセンバツ優勝校を下し、1回戦を突破。甲子園でも勢いは止まらない!



埼玉翔出000 030 100………4

浜甲学園100 020 002×……5



(8回裏終了)

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