501球目 確実に点が欲しいのでヒッティングしない

 センバツ王者相手では、1点差じゃ心もとない。せめて3点ぐらい取ってほしいな。俺は新しいスポドリを飲んでから、ネクストバッターズサークルへ向かう。あっ、名前を書いとこ。



「クワァ!」



 烏丸からすまさんが華麗な流し打ち。結構、打球が伸びて、ライトの頭を越える。ツーベースヒットになった。



「6番ピッチャー水宮みずみや君」



 グル監は送りバントのサインを出す。打ちたいのはやまやまだが、確実に1点取った方がいいよね。



 夜野よるのがクイックモーションから第1球。



「ゲッ!」



 何とキャッチャーが捕れない、クソ高い暴投だ。キャッチャーはボールを追いかけ、夜野よるのがホームへ駆ける。



 これで無死3塁の大チャンスだ。



「あーあ、私ったらホントにバカなのねぇ」



 彼女が俺の右手にふれる。その瞬間、目の前が真っ暗になった。



(続く)

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