500球目 プルヒッターは流せない

「3番ショート分多ぶんた君」



 ランナーがいない時の分多ぶんたは怖くない。ストレートとスライダーで追い込み、チェンジアップで三振だ。



「4番キャッチャー青郡あおごおり君」



 問題はこいつだ。さっきの打球は、番馬ばんばさんじゃなかったらツーベースヒットだからなぁ。敬遠したいところだが、安藤あんどう張川はるかわと予選3割バッターが続くからなぁ。



 東代とうだいはミットを低めに構える。俺もそれに応えるぞ。



「ストライク!」



 低めギリギリにストレートが決まった。青郡あおごおりはバットを出さない。



 2球目は内角低めのストレート。力いっぱい投げる。



「ファール!」



 引っぱってファール。とにかく引っぱるのが好きだから、多少のボールでも打ってくる。ラストは外のチェンジアップ。



「うっ!」



 青郡あおごおりのバットは泳いで、ファーストへのフライになった。



「オーライ、オーライ、キャッチ!」



 ああ、真池まいけさんの守備はヒヤヒヤする。何とかツーアウトになったぞ。



 次の安藤をショートゴロに抑えて三者凡退。今日は調子いいぞ、今年一番かも。



(続く)

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