484球目 和式トイレは使いたくない

 開会式後は、ホテルで1時間休憩だ。靴を脱いでベッドに寝転がる。いつも布団で寝てるから、あんまり疲れが取れないんだよな。枕も少し硬くて高いし。



 同部屋の東代とうだいは、TVで甲子園の第1試合を見ている。



「あー、何か、甲子園の代表校の宿って旅館のイメージあったから、ホテルだと違う気がするなぁ。甲子園のすぐ近くだからいいけど」


「そう思いますか? 私はアメリカ時代から洋式にフィットしてるので、カムフォーテーブル快適ですよ」


「そっか、東代とうだいはアメリカンだったな。じゃあ、和式の便所でウンチ出来ないよな?」


「出来ますよ。キャッチャーのトレーニング代わりに使っています」


「マジか……。俺でも使わんのに」



 1試合ずっとつま先立ちで構えるキャッチャーは凄いと思う。しかも、クソ暑い中で防具付けてるし。東代とうだいは意外とスタミナあるよな。



「ミスター・ミズミヤももっとスタミナをつけて、ラストイニングまで投げましょう。レッツトライ、ジャパニーズスタイル和式トイレット!」


「うるせぇ!」



 こいつ、俺の心の中を読めるのか?



(続く)

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