455球目 じゃんけんに強くない

取塚とりつか君、宅部やかべ君、水宮みずみや君の3人でじゃんけんやって、勝った方が投げて」



 急造投手リレーの作戦が通用しなくなり、グル監の指示は投げやりだ。運のある奴なら抑えられるとの判断か。



「「最初はグー、じゃんけんぽいっ!」」



 俺はグー、宅部やかべさんと取塚とりつかさんはチョキ、一発で決まった。



「ピッチャー津灯つとう君に替わりまして、水宮みずみや君」



 初回以来のマウンドだ。東代とうだいのIQ156のリードや味方の好守備があっても、データ野球打線を抑えられるかどうか。



「ミスター・ミズミヤ、コントロールにケアフリーして下さい!」


「OK、OK」



 余計なことは考えず、東代とうだいのサイン通り投げるか。初球はど真ん中低目のバルカンチェンジ。慎重に投げるのみ。



 思ってたより低めに落ちて、川田かわたが打ってきた。だが、ショートへの平凡なゴロ。まずはワンアウト。



「あっ!」



 守備の名手・津灯つとうの股の下を、ボールが抜けていく。まさかまさかのエラーだ。



(続く)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る