451球目 魔球以外は大したことない

 サンシャイン・アロー対策で、番馬ばんばさんはサングラスをかけてゴリマッチョな赤鬼と化す。いくら速くても、番馬ばんばさんのバットに当たればホームランだ。



「予告ホームラン!」


「ほな。予告三振や!」



 黄崎きざきは初球からサンシャイン・アローを投げてきた。番馬ばんばさんはそれを打ちにいったが、バットの先端に当たる。サンシャイン・アローがストレートではなく、シュート系の変化球だった。



 ファーストへのゴロで、烏丸からすまさん・東代とうだいはそれぞれ次の塁へ進めた。実質送りバントだな。



「3番ファースト水宮みずみや君」


「よっしゃい! 抑えるでやんすぅ」



 黄崎きざきは鼻息荒くして、豪速球を投げ急ぐ。俺はあわよくば当たってやろうとベース寄りに立つが、ボールがことごとく逃げて3-1になった。



 ピッチャー心理として、四球ふぉぼーるの押し出しはけたいはず。ストライクを取りに甘いボールを投げてくるはずだ。



 5球目、俺の読みどおり、ど真ん中にハーフスピードのストレートが来た。それを教科書通りにピッチャー返し。黄崎きざきのグローブ強襲のタイムリーヒットになった。



「やったぜ!」



 甲子園へ近づくタイムリーヒットを打てた。嬉しい、嬉しすぎるぅ! 脳汁が出そう。



(続く)

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