436球目 アウトコースヒッターに外を攻めない

 アウトコースに強い烏丸からすまはホームベースからワザと離れて立つ。彼は流し打って、千井田ちいだをホームに還すつもりだ。



「さぁ来い。ガァガァ」



 大柴おおしば外角低めアウトローギリギリにストレートを投げる。



「ストライクっ!」



 130キロに満たないストレートでも、コースの隅を突くと打ちにくい。ベースから離れて立つ烏丸からすまにはなおのこと、遠く感じられた。



「カァー。絶対に打つ、打つでぇ」



 2球目はボール球に見えて見送るが、スライダーが中に入ってきた。



「ストライク、ツー!」


「カァー! ストライクかよー!」



 次に何を投げるか、コースはどこから。烏丸からすまは必死に考えた。



 大柴おおしばが投げ始める。キャッチャーは外に構える。ボールは烏丸からすまから逃げるように変化する。



「ドンピシャ!」



 烏丸からすまはジャンピング・スクイズするかのように飛び、外のシュートを流し打った。打球はライトへの浅いフライ。だが、俊足の千井田ちいだには充分すぎる犠牲フライになった。



「セーフ!」



 烏丸からすまの犠牲フライで浜甲はまこう学園が1点を返した。



(続く)

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