413球目 下級生の練習は尽きない

 神戸ポートタウン大付属は増川ましかわ鮎川あゆかわの継投で逃げ切り、7-4で勝利した。ポートタウンのナインは勝って当然の無表情で、グラウンドを後にする。



 森脇もりわき工業の選手たちは名残惜しそうに、グラウンドに居座っていた。



「あとちょっとやったのにぃ!」

「ホンマ悔しいわぁ」

「もう1回やりたい!」



 彼らはバットを振ったり、ボールを投げたり、50mダッシュをしたり、もう1試合できそうなほど体力があり余っていた。



「帰るぞ、お前ら! 1年・2年はみっちり練習や!」



 スーパーカートリオとエースの足手あしでは顔をしかめて返事する。



「左のサイドスローがおるうちに左のサイドスローぶつけて、うちのお株を奪う足を絡めた攻撃……。ホンマに性格悪いで、あいつ」



 赤坂あかさか監督は早くヤケ酒を飲みたい気分になっていた。



※※※



 神戸ポートタウン大付属高校のパソコン準備室にて、村下むらした監督はクシャミをする。



「誰かウワサしたのかな」



 彼は今までの浜甲はまこう学園のスコアブックのコピーを見ている。



「チーター、赤鬼、烏天狗、IQ156か。ここまで個性派ぞろいのチームは初めてだね」



 彼は小首をかしげて、浜甲はまこう学園の攻略法を考える。



(続く)

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