387球目 大投手はノーボール作戦を使わない

※今回は宅部やかべカオル視点です



 去年の夏休みは、冷房がギンギンに効いた部屋で野球ゲームしとったっけ。



 今年の夏休みは、日差しがギラギラ照り付ける球場で、リアルの野球ゲームに参加している。



 あああ。頭がクラクラして足元がもたつく。



「おい大丈夫かいな、チビ部」



 ハイ無視。逆に生気が戻ったわ。刈摩かるまのパーフェクトもノーヒットノーランも終わらせたる。



 シミュレーションゲームで打ちやすかったのはカーブ。流したり引っ張ったりすると、好守備に阻まれる。ってことは、素直なセンター返しやな。



 初球はストレートが高く外れてボール。



 2球目は高速シュートが外のボールに。



 3球目はチェンジアップがワンバウンドのボールに。



 カウント3-0、ストライクを欲しがって甘いボールを投げてきやすい。ええぞ。



 案の定、インコースベルト付近に来るションベンカーブ。刈摩かるま、破れたり!



「ファール!」



 あちゃー、絶好球過ぎて引っ張り過ぎた。いや、まだ2球もチャンスがある。



 5球目は内角低めインローに食い込むスライダーでストライク。これは打てないし、例え当たっても、凡ゴロや。



 6球目は何を投げてくるか、カーブなら嬉しいが……。



「ストライク、アウト!」



 144キロのストレートが外角低めアウトローに決まった。1打席目に打ったのとほぼ同じコースやった。



「3ボールナッシングから三振取るとは、さすが大投手・刈摩かるま様やでぇ!」



 クッソ悔しいわぁ。次こそは、次こそは、綺麗なヒットを打って沈めてやる!!



(続く)

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