340球目 三振を引きずらない
「コントロールはええけど、しょせんは1年Pや。ボールの威力がないわ」
「今日もコールドでちゃっちゃと終わらせよ」
「
皆の声は明るくはずむ。ただ1人、
「タイミングは合っとったのに、何で……」
ストレートが、バットから逃げるようにおじぎした。だが、単におじぎするストレートなら、
そもそも、高校野球の金属バットは芯が大きいので、ボールが多少変化してもとらえられる。よって、変化の小さいツーシームやシュートは、強打者なら簡単に打てる。
「落ちるストレート、そんなんあるんか……」
「何をぼさっとしとるんじゃ、
「高速フォーク? スプリット? いや、それやったら、もっと落ちるやろ……」
彼はバルカンチェンジという球種を知らない。それどころか、自分の方へ打球が来ているのも知らなかった。
「
「あっ、あわわ」
彼は慌てふためきながらボールをつかみ、ファーストへ投げた。しかし、とんでもない暴投になり、1塁側ファールグラウンドへ転がっていく。
「
「ごっ、ごめん、ごめん」
(続く)
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