335球目 バルカンチェンジを出し惜しみしない
しかし、いくら
「ワニベは、バットコントロールとパワーがハイレベルなバッターです。マンガ・ハイスクールのリュースイに
「そんなバッターを抑える方法はあんのか?」
「ワニベオンリーにバルカンチェンジを使います。彼はストレート系のボールが好きで、ボールゾーンに来てもヒッティングしてきます。ストレートやスライダーでカウントを稼ぎ、ラストにバルカンチェンジでアウトにしましょう」
「なるほど。で、その対策として、あの人がピッタリってことね……」
俺は打席の
「ミスター・ミズミヤ、バルカンチェンジをローコースにピッチングして下さい。アーユーOK?」
「OK、OK。任せとけ」
グローブの中で、薬指と中指を広げ、人差し指と親指で〇を作って、バルカンチェンジの握りを作る。難しい! 明日の試合までに、素早く握れるようにならないとね。
チェンジアップの要領で投げ、高目に浮いちまった。
「ポポー!」
「ミスター・ミズミヤ、リラックス、リラックス!」
肩の力を抜いて投げるも、尺村にことごとく打たれる。内野ゴロになることもあるが、8割ぐらい外野に飛ばされる。
「
「人じゃなくて、ネコかよ……」
「やってみて!」
ワラにもすがる思いで、ネコネコネコネコネコネコネコネコネコネコと、10回手のひらに書いて、なめてみた。目の前にいるのは
不思議なことに、俺の頭の中がたくさんの猫や、陸上部のネコ耳男子、チーター姿の
「ストライク!」
初めて“強打者”の
(続く)
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