333球目 マッチョ獣人になれる薬が手元にない
「えっと、これは、ちょっと、迷っちゃって。オホホホホホ」
「嘘だ。さっき、そのバッグに何か入れたでしょう?」
男が
「ええ、その通りよ。
「
男は左手で壁を殴り、少し顔をゆがめた。
「あ、あのぉ、あなたは?」
「俺は
「それは気の毒ねぇ……」
「
彼は力こぶを作るが、すぐぺしゃんこになってしまう。
「ほなら、あなたのために、筋骨隆々の獣人になれる薬を、明日までに作ってあげるわ」
「ホ、ホンマですか? よっしゃあ!」
彼はバンザイしてクリスマスプレゼントをもらったようにはしゃぐ。理事長夫人は「これで浜甲は負けるわ」と、ほくそ笑んでいた。
(続く)
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