332球目 理事長夫人は忍者じゃない
「もう呪いはアテにならないわ」
5回戦の
まだ朝の9時なのに、本物の新聞記者たちが1人の選手に集まっていた。
理事長夫人が記者を押しのけると、上半身が裸の男がにこやかに質問に答えていた。
「
「ハハッ。100本目打てても、チームが勝たんと意味ないんで。ランナーおらんかったら狙いますけど」
「筋肉がとてもステキですねー。筋トレ効果ですか?」
「ハハッ。それもあるけど、ベンチプレス100キロを何百回かやった後に、特製プロテイン飲んでるおかげかも。試合中も飲んでマッスル」
理事長夫人はそれを聞くと、野球部の部室へ忍び足で向かう。
「うわっ、くっさー!」
部室の男臭さに、彼女は鼻をつまむ。
「あった! 特製プロテイン!」
「明日の試合中は、これね!」
7月30日の午後12時のプロテイン袋の中に、理事長夫人特製のドーピングマッスル粉末を混入する。
「これで万事OKだわ」
「フゥー。ちょっと休も、ああっ!」
(続く)
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