328球目 ベスト8は怖くない

「センターバック!」



 山科やましなさんはラバーフェンスにぶつかりながらも、ボールを捕った。



「アウト! ゲームセッ!」



 ついに浜甲はまこう学園はベスト8進出だ。俺は兵庫連合ベンチから飛び出して、自分の体目がけて突進していく。



「俺の体ぁ!」


「ごっ、ごめん」



 2人がぶつかれば、俺の精神が自分の肉体に戻る。



水宮みずみや君おらんくても勝てたよー」



 津灯つとうが俺の元へ駆け寄ってくる。その発言は何だか複雑……。



水宮みずみや君の体めっちゃ使いやすかったわ。おおきにやし」



 宮田みやたがつぶった目の方にしわが寄る汚いウインクをしてきた。



「私と入れ替わった男って、みんなおっぱいもむんやけど、水宮みずみや君は何もせんかったね。めっちゃ紳士やし」



「あっ、いや、2回戦に肥満化した時に、自分のおっぱいもんでたから、別にいいやと思って……」


「そう……」



 宮田みやたは急に冷めた表情になって、兵庫連合の方へ戻った。あいつ、俺に何を求めてたんだ?」


「ついに、あと3つで甲子園よ、みんな! 帰ったら、たくさん練習しましょ」



 グル監の底抜けに明るい笑顔が怖いが、素直に勝利は嬉しい。ベスト8以降は苦しい戦いになると思うが、まだまだ諦めんぞ!



兵庫連合000 402 000……6

浜甲学園100 102 23×……9


(5回裏終了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る