313球目 ホームランがスタンドに入らない

 4回裏は烏丸からすまさんの犠牲ぎせいフライの1点止まり。スコアは2-4、まだまだ逆転可能な点差だ。



 山科やましなさんのタッチアップが早くて焦ったが、俺以外の誰も気づいてなくて良かったぜ。



 ニセ宮は相変わらず、しょぼいピッチングしやがる。明らかなボール球を2球続け、打って下さいと言わんばかりの甘いボールを投げた。



 朽神くちかみの打球が高々とレフトへ。ホームラン性の打球だ、ヤバイ。



 しかし、烏丸からすまさんが瞬時に両腕を翼に変えて飛び、空中で口ばしキャッチ。さすがだわ。



 次の片和田かたわだの打球はセンターバックスクリーンへ。山科やましなさんがダンクシュート決められそうなジャンプをして、華麗かれいにキャッチ! 鉄棒の体操選手のように着地! 山科やましなさんステキだわー!



 夢野ゆめのの打球はライトスタンド一直線。火星ひぼしの左腕がびょーんと伸びて、ホームラン性の打球を捕った。オラゴン星人の柔軟性、マジ半端ねぇ!



 ホームラン3本が外野フライ3つになるとは、浜甲はまこうの外野陣は鉄より硬いダイヤモンドか?



 ニセ宮は苦虫をつぶした顔で俺をチラ見してから、ベンチへ戻っていく。今までの対戦相手は楽に倒せたかもしれんが、浜甲はまこうは一味違うぞ。



(続く)

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