301球目 首位打者が最高出塁率を獲れるとは限らない

 大寺おおでらと兵庫連合の試合は、兵庫連合が7回に4点を取って逆転し、5-4で制した。プロ注目の強打者・細竹ほそたけは、初回のホームランの後、3三振で精彩せいさいを欠いた。



 試合終了後、俺達3人は電車の中で試合を振り返った。



細竹ほそたけ君、別人みたいやったね。エラー3つもしたし」


「ああ。あれじゃあ、デヴィッドさんだよ」


「ミスター・ミズミヤ、それは失礼です。ミスター・デヴィッドはよくエラーしますが、アベレージ打率は3割6分あります」


「「マジ?」」



 東代とうだいがノートパソコンのデータファイルを見せてくる。真池まいけさんは4試合11打数4安打で、確かに3割6分打っていた。



「へー。俺と津灯つとうって、同じ3割8分か。宅部やかべさん4割はさすがだな」


「ちなみに、ミスター・ヒボシはアベレージ2割2分ですが、フォアボールやデッドボール6個合わせるとオンベースパーセンテージ出塁率は5割3分。ミスター・ヤカベより塁に出るパーセンテージは高いです」


火星ひぼし君かぁ、意外やね」



 あの身長伸び縮み打法で、結構四球フォアボールを稼いでいるんだろう。下位に置くのはもったいないのかもな。



「兵庫連合のバッターはどうなんだ?」


「1番クチカミ、2番カタワダ、3番イトモリ、4番ユメノ、みんな3割後半のアベレージです。特にイトモリは4割4分のハイアベレージ。バットしかし、下位は1割バッターがメニィメニィとても多いで、9番ミヤタは0です」


「ってことは、上位4人を完全に抑えたら楽勝か」


「でも、チーム打率は.238やのに、出塁率は.379もあるよ。四球フォアボールがめっちゃ多いみたいやね」


「どうせ、ノーコンピッチャーと当たったんだろう。1試合で18個も三振奪える好投手からは、ヒットどころか、出塁もムリだろうよ」



 昨日の好投で、小さいながらもスポーツ記事に載ったからな、俺。無安打無得点試合ノーヒットノーラン完全試合パーフェクト・ゲームやってたら、もっと大きく載っていただけに、残念だわ。



「頼むよ、浜甲はまこうの大エース・水宮みずみや君❤」


エクセプト期待しています、ミスター・ミズミヤ」


「任せとけって」



 こんなにキャプテンとキャッチャーに信頼されたら、物凄く照れちゃうなぁ。明後日の試合は、何としても三振をたくさん奪い、ノーヒットノーランかパーフェクト・ゲームやってやるぜ!!



(続く)

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