270球目 八尺様に遭遇したくない
「ハァハァ。キツイっスねー、この坂」
「この程度でへこたれとったら、9回投げられんで」
「はいっ! 頑張ります」
しばらくして、彼らは山の中腹で休憩を取る。黒炭が水筒の水をがぶ飲みする。
「監督、暑いですねー。龍になって雨降らして下さいよ」
「あかん。こういう暑い中で練習してこそ、力になるんや」
「はーい。わかってますよ。あー、僕も龍はムリとして、
「それなら、中国の
「マジっすか? 僕はトカゲやイグアナになりたいなー」
「ただ、変身は完全に運任せやから、筋肉モリモリの人がスナネコ、セクシーな女性がカバになっとったな」
「うーん。僕は運が悪い方やからなぁ」
「ポッポポポポポッポポポポ」
どこからか鳩のような鳴き声が聞こえてきた。彼らは辺りを見渡すが、どこにもそれらしきものは見当たらない。
「なっ、何やこれ……」
「もしかして、
冷や汗をかく2人の前に、しげみから巨大な女性が現れた。彼女は麦わら帽子をかぶっていて、ポポポと奇妙な声を発していた。
「うわぁ!
「つめたっ! 鳩のモノマネしとっただけやのに」
その女性は人間の声を発した。
「すみません。うちの部員が失礼なことを……」
「気にせんといてね。ポッポポポポポッポポー」
謎の女性は鳩のようにあごを突き出しながら、林の中へ入って行った。
「見たか、
「ええ、見ました。何なんですかね、あれ……」
「
(続く)
※注
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます