祝! 1万PV記念おまけストーリー ドキッ! 浜甲女子の恋バナ☆

 兵庫ひょうご県の夏大開会式前夜、家庭科教室の女子生徒3人は寝つけずにいた。



「うーん。なかなか寝られへん」



 本賀ほんがは目をギュッとつむってみたが、一向に眠気は来ない。



「ムリに寝ようとしたら、かえって目が冴えてストレスたまるよ。そういう時はしりとりやろ」


「いやいや。ここは恋バナやん」


「恋バナかー。そう言えば、チーさん、トラ彼氏とはどうなりました?」



 トラ彼氏とは、ゴリマッチョ化からのバター化を見せた天塩あまじお阪神はんしん体育大学付属高校1年)のことである。


「あー。天塩あまじおはムリムリ。あいつ、野球以外全く興味ないから、あたいと話がかみ合わへんやん。『勝利のエース』(中学生のテニス青春マンガ)を野球モンとカン違いしてたぐらいやん」


「そうですかー。麻里まりちゃんは烏丸からすまさんとどう?」


「うーん。烏丸からすま先輩はいい人なんやけど、妖怪や幽霊の話ばっかするから、ちょっと……。あっ! でも、毎日LANEで、本当にあった怖い話を送ってくれるから、かき氷代わりになってると思う」


「何なんそれ。ホン怖(ホントにあった怖~い話の略称)より、毎日送ってくる方がホラーやん」


「みんな、結構会話しとるんやね。私は水宮みずみや君と東代とうだい君とやり取りしてるけど、水宮みずみや君は既読きどくスルー多くて、東代とうだい君はオール英語で送ってくるからねぇ……」


山科やましなとLANE交換したら? 変なスタンプばっか送ってくるから、飽きへんで」


「おお。浜甲はまこう野球部の乙女達、まだ眠れないのかい? デヴィッド君の子守唄と僕のウクレレ伴奏で、夢の世界へいざなおうやないか」



 いつの間にか、ウクレレを持った山科(173球目の後で起きたらしい)とマイクを持った真池が、彼女達の枕元に立っていた。



「ねーむれ! ねーむれ! 地獄でグッナイベイビー!」


「うるさい、帰れ!」


安眠妨害あんみんぼうがいです!」



 千井田ちいだ真池まいけの足首にかみつき、本賀ほんが山科やましな股間こかんに辞書を投げつければ、2人はキャインと鳴いて退散していった。



「あれ? 飯卯いいぼう先生、まだ寝とる?」


「めっちゃ大物やん……」



 飯卯いいぼう先生は乱れぬ寝息を立てて、あらゆる珍食材で料理している夢を見ていた。



(続く)

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