198球目 今の俺は抑えられない

 初球はセットから2秒で発射してきた。ボール。



 2球目は11秒後に発射で、振り遅れる。ストライク。



 3球目は5秒で、打ちに行けず。ストライク。



 カウント1-2、次も8秒のリズムで待つ。来なかったら三振でもいい。



 4球目、「マイ・ハート・ウィル・ゴー・オン」のサビのフレーズのタイミングで発射ぁ!



 インコースのボールをジャストミート!



 打球は超後退シフトのセンターとライトのちょうど中間地点にぶち当たる。2人は一歩も動けず、スタートが遅れる。



 そのスキを突いて、一気に3塁へ。



 走者一掃のタイムリースリーベースヒットだぜ。



「とても素晴らしいバッティング、水宮みずみや君!」



 3塁ベースコーチの本賀ほんがさんとグータッチをかわす。



「おう。タイタニックのおかげ、いや、真池まいけさんのおかげだ」



 ベンチの真池まいけさんはえびす顔になっている。



 取塚とりつかさん、津灯つとう、俺の三連続ヒットで、木津きづは並み以下のPになってしまった。



 暴投や四死球、さらに味方のエラーも重なって失点が増える。



 スコアは11-6に。あと2点でコールドゲーム成立だ。



(続く)

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