184球目 木津投手は大したことない

 3回裏の攻撃は、初回のリプレイを見ているかのごとくだ。



 まず、宅部やかべさんがセンターオーバーのツーベースヒットで出塁。



 次に、真池まいけさんが送りバントを決め、1死3塁に。



 津灯つとうがライト前ヒットを放ち、あっさり1点返した。



「よっしゃあ! 打つぞー」



 ヒットで続こうとしたが、1球もストライクが入らなきゃ、打てない。ストレートの四球フォアボールで1死1・2塁に。



 ここで、飯卯いいぼう監督は大きな賭けに出た。俺と津灯つとうのダブルスチールだ。俺はセーフになる自信があるが、津灯つとうの足は大丈夫だろうか?



 きづ津が投球モーションに入ったと同時にスタート。キャッチャーは金縛りに遭ったように動けない。ダブルスチール大成功!



 さらに、山科やましなさんも四球フォアボールで出て、1死ワンアウト満塁フルベースの大チャンスに変わる。ここで迎えるバッターは、番馬ばんばさん。タイミング合わせてどデカい一発お願いします!



「ワンナウトフルベースか。使うなら、ここやな」



 木津きづは不敵な笑みを浮かべて、右腕をグルングルン回す。



 すると、彼の右腕が鋼鉄こうてつにおおわれ、鉄砲のような筒状のものに変わる。彼は左手で右手の鉄筒の中にボールを入れる。



「これが俺の超能力、ハンズキャノンや!」



(続く)

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