175球目 プレイボールから打つんじゃない

 7月11日14時20分、まだ梅雨特有のジメジメが残る姫路ひめじ城前球場にて、1回戦を行う。



 両チームのスターティングオーダーは以下の通りだ。



八木やぎ学園>

1中 近森ちかもり(2年)右投左打

2三 笹井ささい(3年)右投右打

3一 殿田とのだ(3年)右投右打

4投 木津きづ(3年)右投右打

5右 竜堀たつぼり(2年)右投右打

6左 木村(3年)左投左打

7遊 北矢きたや(2年)右投右打

8捕 神沼かみぬま(3年)右投左打

9二 大路おおじ(1年)右投左打




浜甲はまこう学園>

1二 宅部やかべ(2年)右投右打

2一 真池まいけ(2年)右投左打

3遊 津灯つとう(1年)右投左打

4投 水宮みずみや(1年)右投左打

5中 山科やましな(3年)右投右打

6三 番馬ばんば(3年)右投右打

7左 烏丸からすま(3年)右投右打

8右 火星ひぼし(1年)右投両打

9捕 東代とうだい(1年)右投右打




 スタンドは、阪体はんたい大付属戦の勝利を知った浜甲はまこう生が50人ぐらい応援に来ていた。相手の八木やぎ学園の方は30人ぐらいなので、応援負けはなさそうだ。



「オー! ミスター・ミズミヤ、パーフェクトです! このコンディションなら、パーフェクト・ゲーム出来そうです!」



 俺のストレートを受けた東代とうだいが大げさに言う。



「んなカンタンにできないって」


「出来るかもよ。だって、相手の八木やぎ学園は15年連続1回戦敗退、去年は5回コールドのノーヒットノーラン負けやから」



 ショートの津灯つとうが近づいて、俺に耳よりの情報を伝えてくれる。そんなザコ高校なら、5回15奪三振パーフェクト狙えるか!?



「プレイボール!」



 球審の手が上がり、サイレンが鳴る。サイレンが鳴りやまぬ内に、自慢のストレートで公式戦デビューを決めるぜ。



 真ん中高めのストレートを、小柄な近森ちかもりが打ってくる。



 打球はライト方向へ伸びる。



 火星ひぼしがラバーフェンスに背中を付けて、左手を伸ばす。



 そんなに打球が伸びて、ああっ!!



 打球がそのままライトスタンドに入った。



(続く)

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