165球目 偵察がバレたらいけない(八木学園)

 淡路あわじ島の田園地帯の中に私立八木やぎ学園がある。山科やましな真池まいけがバスに揺られて2時間、やっと八木やぎ学園にたどり着いた。



「オエエエ。山科やましなさんタンマ、タンマ」



 真池まいけ排水溝はいすいこうに顔をつっこみ、苦悶くもんの表情を浮かべる。



「バスん中で激しいライブ映像見るからだよ。まったく」



 呆れ顔の山科やましなは腰に手を当てて、真池まいけの回復を待つ。すると、彼らの横を白いユニフォームの野球部員達が通り過ぎていく。



「ガッツガッツガッツ八木やぎ学園!」



 先頭の彫りの深い顔の男が、威勢の良い声で音頭を取るも、後ろの部員はアクビをしたり、上の空だったり、笛吹けど踊らず状態である。



「あれが八木やぎ学園かー。真池まいけ、ついて行くぞ」


「はっ、はひ。ラジャー」



 山科やましなは足取り軽く、真池まいけはよろめきながら、野球部員の後を追う。



※※※



 八木やぎ学園のグラウンドのフェンスはスチールメッシュで、外からながめられた。2人は地元の若者A・Bの雰囲気を装って、偵察ていさつしている。



「燃えつきろ、俺の豪速球ッ!!」



 ランニングの先頭を走っていた男が、キャッチャーが飛び上がっても捕れない大暴投をする。キャッチャーは「クソノーコン野郎め」とつぶやきながら、ボールを拾いに行く。



 他の部員はクリケット遊びをしたり、SNS用のダンス動画を撮ったり、スイカ割りをしたり、もうめちゃくちゃである。



「これが僕達の初戦の相手か……」


「20点ぐらい取れそうですね」



 2人は試合でかっとばす自分を想像しながら、余裕の笑みを浮かべていた。




高校名:八木学園

レビュー者:山科時久

投手力:2

打撃力:3

守備力:3

総評:キャプテン兼エースの気合が空回りし、誰もついて来ていない。コントロールが悪すぎるので、じっくり見て打った方が良いだろう。まともなバッティングや守備を見られなかったので、打撃と守備の評価はテキトーにつけました。




高校名:八木学園

レビュー者:デヴィッド真池

投手力:3

打撃力:3

守備力:3

総評:全体的にリズム感がない! ピアノをらんぼうにひく子どものよう。熱血キャプテンに実力あったら、みながついていくと思うのに、ノーコン&三振王なら、ノーフォローですわ。



(夏大予選まであと12日)

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