161球目 偵察がバレたらいけない(赤穂大志高校)

 俺と取塚とりつかさんは赤穂あこう大志だいし高校を偵察しに行った。甲子園駅から約2時間半かかったぜ、長かったぁ。学校関係者を装ったら、意外とカンタンに入れた。



 校舎はお城そのもので、部活の部屋が城下町の木造家屋のように並んでいた。



「あのー、すみません。野球部はどこですか?」



 目元以外を布で隠した忍者風の男に尋ねた。



「野球部なら、ここをまっすぐ行き、弓道場を曲がって左で練習しているでござるよ」


「ありがとうございます」



 俺がお礼を言い終わらない内に、忍者は走って消えてしまった。戦国時代にタイムスリップしたみたいで、変な気分だ。



「この学校、大丈夫ですかね?」


「わからん。とにかく、野球部見たら、さっさと帰ろ」



 野球部のグラウンドはノーマルタイプで、全員が大声を出して騒がしい。



赤羽あかばね殿、1塁を踏むのが遅いぞー!」


磯田いそだ殿、もっと声を出さんかーい!」


真奈瀬まなせ殿、犠打をするなら、打球をもっと殺さねば」



 ファーストやバントなどの英語(和製)を全く使わず、日本語のみで会話を続けている。



「とんでもない所に来ちまったな……」



 取塚とりつかさんが目をしょぼしょぼさせて、つぶやいた。




高校名:赤穂大志高校

レビュー者:水宮塁

投手力:8

打撃力:8

守備力:9

総評:ピッチャーの大石は重たそうなボールを投げる。天塩といい勝負。バッターはコンパクトに振りぬいて、当てるのが上手そう。切れ目のない花丸打線に似てる。守備は全体的に俊びんに動いてる印象。セカンドとショートの守りはプロ級だ。




高校名:赤穂大志高校

レビュー者:取塚礼央

投手力:7

打撃力:9

守備力:10

総評:マッチョなピッチャーは気迫たっぷりで、こっちが圧倒されます。素振りがチャンバラのような激しさで、殺気が満ちています。野球部より、剣道部に近いでしょうか。守りはダイビングキャッチやジャンピングスローのような派手なプレイがないものの、確実にアウトにする足とキャッチングセンスが光っています。



(夏大予選まであと12日)

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