135球目 猛虎の打球が止まらない

 津灯つとうのグローブにボールが入る。スリーアウトチェンジだ!



「キャア!」



 ボールが竜巻たつまきのようにスピンしながら、津灯つとうのグローブを弾いた。猛虎もうこの打球の勢いが止まらない。



宅部やかべさん!」


「捕る!」



 まだボールは地面に落ちてないから、宅部やかべさんがダイレクトでキャッチすればアウトだ。追いつけ、宅部やかべさん!



 打球は2塁後方へ。宅部やかべさんがダイビングキャッチで捕った。だが、ボールがグローブから飛び出す。まだ打球が収まらない。



 とうとう、センター前の打球になった。ボールが地面に着くまでに山科やましなさんが捕ってくれ。



「キャッチ!」



 山科やましなさんはボールをすくい上げて、グローブを高々とかかげる。ついに猛虎もうこの打球が止まった。これでベンチに帰れる。



「フェア、フェア!」



 わずかにボールが先に地面に落ちていた。これで同点だ。



「バックホーム!」



 人間時でも2塁ランナーの辺田へんだの足は速い。山科やましなさんが投げ、東代とうだいのミットへ入る。送球のタイムロスはない、後は東代とうだいがタッチするだけ。



「ピャッハー!」


ノーウェイありえない!」



 辺田へんだの手が東代とうだいのミットの下にある。ということは……。



「セーフ、セーフ!」



 7回裏、阪体はんたい大付打線の四連打で逆転されてしまった。



(続く)

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