108球目 刈摩の誘いに乗らない
俺は全く心の準備が出来ていたいなかったので、首をかしげて
「転校だよ、転校! 転校すると1年間公式戦に出られないが、今転校すれば、2年の夏大で私と君の左右の二枚看板が完成するよ」
彼は上半身だけで投球モーションを見せる。甲子園常連校の
「
「そ、そんなぁ。同じ神奈川出身で、兵庫県に
しかし、始業式直後、
チーター娘やIQ156、バスケスター、赤鬼番長、ロックンローラー、幽霊ピッチャー、カラス天狗、本の虫、宇宙人、ゲーマーと出会っていく内に、野球の面白さに気づかされた。彼ら以外のチームメイトは考えられない。
「俺は
言い切ったぁ。こういうセリフ、人生で1回言ってみたかったんだよなぁ。
「そうか……。君の学費の全額補助も考えていたけど、しかたないね」
彼はうつむき、カップの表面をじっと見ている。
「
「100人ぐらい部員いるんだから、きっと
ってか、10人ぐらい
「そうだね。あぁ、君に忠告なんだが、
「その情報のソースは?」
「
理事長夫人の野球の敵意は知っていたから、今さら驚かない。
「ありがとう。俺は理事長夫人にも、
「フフフ。もし野球部が無くなったら、いつでも私の高校に来ればいいよ」
彼がマネキンみたく白い左手を差し出す。俺はその手と熱い握手を交わす。最初はクソ嫌味金持ち野郎と思っていたが、中々いい奴じゃないか。
「坊ちゃん、着きましたよ」
(夏大予選まであと47日)
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