103球目 ピッチャー太郎02は売り物じゃない
10万円だろうと、100万円だろうと、
「これは売り物やないの。何円出そうと」
「10万円は少なすぎるか。じゃあ、50万円でどうでしょうか?」
「だから、売り物じゃな」
「100万円! 100万円なら譲ってくれますよね?」
さらに札束5セット追加。100万円を持ち歩くって、かなりイカれてやがる。
「グル監が売らねぇつってんだろ!」
しびれを切らした
「ふぅ。何でも暴力で解決するのは良くないよ」
彼の右手の平が、
「私の能力は、動く物体を重い鉄球に変える“アイアン・ボールド”だ」
あれ? 物体を鉄球に変える奴って……。
「お前! フェンリル
中学最後の打席で、俺をピッチャーゴロに打ち取った(31球目参照)のは、アイアンボールの使い手だった。
「おやおやおや。私の中学時代を知っているのかい?」
「中学の時に対戦しただろ? 俺は
「覚えているとも。野球狂の父親に怒鳴られていたよね。かわいそうに」
全くかわいそうと思っていないせせら笑いを浮かべる。
「どんなに努力しても無駄ということに気づいた方がいいですよ、皆さん。いくら恵まれた才能があっても、劣悪な環境下では育たない。その逆もまたしかり。そうダーウィンも言ってます」
「ダーウィン先生はそんなこと言ってません、カルマ!」
(夏大予選まであと48日)
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